「いろんな意味で難しいことに挑戦した感じ」天気の子 morimacさんの映画レビュー(感想・評価)
いろんな意味で難しいことに挑戦した感じ
制作開始時には昨年の水害などなかったのだから、きっと制作期間中に何度も何度も手直しや表現を変えたんじゃないかなと思います。
天気を題材にすると雨が悪く、晴れが正しいとなりやすいものだが、雨が正しいとも取れるようにストーリーを仕上げたあたり、ネガティブになりがちな雨をポジティブに考えれるようにしたいという願いにも見えました。
陽菜がこの世に戻るシーンで、穂高が雨でいいと明言していたら、この題材はチープに晴れが正しいになってしまったかと。そういう意味では言葉に神経が行き届いていたと思いました。
というかその辺りが変わったんかなと。
最終の沈んだ東京は少し大袈裟だなと、レインボーブリッジが浸かるともはや日本の沿岸部は沈んでるだろうと思うし、国も何かしてるだろと。
そのシーンで立花さんが話す、元々は海だったんだから、元に戻っただけというセリフは、気持ちを切り替えて生きるためのメッセージにも取れるかなと。諦めた訳でなく、自然と身を任せて生きる決意のような。
災害被災者には少し理解しにくい、または反発を受けそうな題材を投げ出さずに仕上げた意味は、やはり天気に左右されて生きていることへの考え方の提示をしたかったのかなと。
晴れと引き換えに人柱になる。
昔から日本はそうしてまで晴れを望んできた背景に
ある寺の住職がいう、異常気象とは最近の様子を見て…というくだりが示すように、晴れていることが、有り難く、雨が当たり前な時代があったんだと思う。災害で人の命が奪われてしまう中で、晴れを願うことがもし誰かの命を捧げないと得られないことならば、晴れを願う気持ちは尊いものでなくてはならないと語るというように、陽菜が命を捧げながら叶えていく晴れはあまりにも個人的な願いばかりで、その対比がこのドラマのテーマなんかなと思いました。
その割には、キャラ設定が甘く、キャラの背景が乏しいのは否めない。
穂高は何故家出したのか、陽菜のお父さんは?
実質子ども2人でアパート暮らしは可能なのかとか、
もう少しあれば感情移入できたかな。
特にラストシーンで、須賀圭介がビルで穂高を引き止めておきながら、警察に囲まれた時に急に穂高を助けるのはあまりに唐突だった。自分の状況から加担出来ないはずなのに、殴ったあたりは分かりやすいけど、短時間すぎるなあと。同じシーンで、凪が助けにくるが、お前のせいで…といきなり怒るのも、唐突。本来ラブホで居ないのがわかったあたりで、穂高に向かって文句言っていいかなと。
平泉成が刑事してるが、似てる似てないが微妙で、すべった感じ。たいして役に立ってないし。
多少の辻褄合わせは仕方ないかなと。
何か切り貼りされた感じがあるので、葛藤がある気がしました。また追いついてないのは、まだまだ時間がなかったのかなと。
ところどころに君の名はのキャラクターが出ているあたりは、遊び心だろうけど、ファンにこびたのか、引きずってたのか。無くてよいと思う。
カナが書いた名前が声優さんの名前だったりするのもアニメだなと思う。映画にして欲しいな。
ジブリのようなファンタジーを描いてないので、前作からの二作目は、新海監督のスタンスが見えた感じがしました。
全体的には楽しかった。
描写も相変わらず綺麗だった。
今回はラドウィンプスのPVにはならなかったかな。