「青くさい青春、テーマは愛」天気の子 なおきちさんの映画レビュー(感想・評価)
青くさい青春、テーマは愛
くさいですが、愛ってこいういことだな、と改めて考えさせられる映画でした。
とても大切な人がいて、それはその人じゃなきゃ駄目なんですよ。その人は消えてしまったかもしれないけど、もしかしたらまだ間に合うかもしれない。諦めたくない。世界のためにと彼女が死を選んだとしても、何故何も悪いことをしていない彼女が世界を救うために消えなければならないのか?理不尽すぎて到底受け入れられないんですよ。他人が困るとか、自分の人生詰むとか、そんなことはもうどうでもいいから、彼女が消えないうちに、一目会うだけでもいいから追いかけたいんですよ。
そういう主人公の若さと、強さと、純粋さで、ヒロインは生き返ります。大切な人を守ったわけです。
他人に理解されなくても、自分を信じて勇敢に立ち向かう。周りに流された方が生きやすいし、長いものには巻かれて、自己主張しない方が安泰な世界に、彼は訴えている。
それで本当にいいのか?
人は生まれてきた時から社会の規律や常識に無意識にがんじがらめにされて生きているけど、本当に大切な人ができた時、世界中を敵に回しても、倫理観や常識からいかに外れようとも、その人を守りたいと思う。その言動が、たとえ狂ってると言われても。よくある「世界中が敵になっても君を守る」とか言っちゃうくさい歌詞を再現するとまさにこういうことだなと思うんですけど、それってそう簡単にはできないことだよなと改めて考えさせられました。人はこうしたらこうなるとかリスクや逃げ道をあれこれ考えて、選びたい選択を諦めてしまう事が多いし、実際その方が堅実だったり楽なんですよ。でもそれで本当にいいのか?
大切な人に会いたいと言った主人公を須賀は止めませんでした。思い出したんですよね。大事な人を失う辛さを。奥さんが晴れ女だったという説もありますが、須賀がどこまで知っていたかに関わらず、こんなになるまで戦っている主人公を応援したくなったんだと思います。大人になった理性と、少年の純粋な感情の対比が素晴らしいです。
大体、世の中は自分たちのためだけに都合よくは回ってくれないし、理不尽で狂ってることだらけなんですよ。その中で、本当に大切なことは何か?自分で考えて、どんなリスクがあろうと迷わず行動できる、その強さと若さと純粋さが強烈に眩しかったです。
そもそも知らない他人やその他大勢のために犠牲にならなきゃいけないなんて理不尽すぎるんですよ。その他大勢のために我慢して黙って死ぬのが美徳だからそうしなきゃいけないなんて思わなくていい。世界はそれでも回っていくんだから。
愛なんて言葉滅多に使いませんが、これが愛なんだな、と思いました。自分がどうなっても、世界がどうなっても、この人を助けたいし生きてほしい。
はぁ、眩しすぎだろ。思いが溢れてしまいまとまりのない長文失礼しました。ぜひ多くの方に観てほしいです。