「犠牲と代償」天気の子 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
犠牲と代償
久しぶりに劇場で見たくなりチネチッタ川崎にてライブサウンドシアターで鑑賞。
君の名は。に比べるとさらにファンタジーな作品ではあるが、君の名は。に負けじ劣らず夢や希望を抱かせてくれる非常に素晴らしい作品だと毎度観るたびに思う。
この作品において大切なのはやはり若者への希望だと個人的に解釈していつも楽しんで見させてもらってる。
陽菜ちゃんにしろ帆高にしろ当初は具体的な夢や希望が持てず現実をひたすらと生きていたが彼らが出会い恋をする事で夢や希望を抱き、そして後にその夢や希望が相手の幸せとなる。恋愛の王道な展開とはいえど、恋愛の基礎となる為やはり見ていて心躍らされる。
ただこの作品では陽菜ちゃんが存在する事で雨が続き、同時に天気を晴らす力を持つ。そして日常的な天気を戻すには人柱になって命絶えてしまうという枷があるわけだが、この辺のファンタジー設定が非常に没入しやすくまた分かりやすく感情移入しやすい為、人気作品であるのもうなずける。
一度は陽菜ちゃんは帆高の為、そして世界のために自分の命と引き換えに日常的な天気に戻そうとするが帆高が引き止める事で命は戻り天気が異常気象は変わらぬままで作品は終わる。ここがこの作品の一番面白いところである。
何かを得る事に時には犠牲や代償が必要な時はある。自分が犠牲になる事で多くの人が幸せになる結果ならば犠牲になる事は時にはとても美しいものである。
ただ自分を犠牲にする事ばかり正解で、犠牲にならない選択が誤りなのか。決してそうではない。
この作品のように彼らがこれから恋愛する事もまたとても素晴らしい選択の一つである。
この作品のように雨が続き日本の一部が沈没し、海上で生活する事は現実世界で比較するととても異常な事である。
しかしこの異常が長く続けばそれは通常となり、人はその環境に適応した生活を営む力や知恵を育み適応していくのであろう。
人間というのは自分たちが思ってるよりも賢くて強い生物だと思う。
日々生きていれば困難にぶつかり立ち向かうことが必要な場面はいくらでもある。
時にはその困難をなにかを犠牲にする事で解決できることもあるかも知れない。ただ犠牲や代償に頼って困難を乗り越える術だけを覚えてしまうと本来失わずに済んだものも、もしかしたら失ってしまってるのかもしれない。もしそのような事があれば非常に惜しい事である。
この作品を見ていると「犠牲や代償」といったものを凄く考えさせられる。
振り返ると歳を重ねると失う事にも慣れ、そして失う物も減り犠牲や代償で済むのであれば済ませてしまうケースは多くなってる気がする。
ただ今一度その犠牲や代償といった選択に追われた際は一度振り返り、そして人は思っている以上に強く賢い事を自信に変えて強く生きたいと勇気をもらえる作品だった。
時として、陽菜ちゃんや帆高達のように自分達を大切に、そして自分達の幸せを第一とした強くて勇気のある生き方を大切にしたいと心に響かせながらいつも観賞させてもらってる。