アンノウン・ボディーズのレビュー・感想・評価
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サイコパス的な要素はなかったとも言える
面白く観た。面白く観たけど凄く物足りなくイマイチでもあった。
色々なことが起こるのだが、どことなく一本調子で絡み合う複雑さのようなものを全く感じなかったのは、容疑者とされている人物がことごとく怪しくないせいだと思う。
なんとなく怪しいからアイツが犯人だ!みたいなフワフワした感じだけで、観ている私たちに対して犯人かもしれないと思わせる場面がなかったよね。
これは推測だけど、原作は十人以上いる容疑者候補が全員怪しく、それが一人づつ減っていき、犯人が絞られていく、それと同時にフレディとリナのロマンスが展開し、サイコ殺人鬼とリナの間で精神攻撃の沼にハマっていく刑事って感じのサスペンスなんだと思う。
容疑者を一人一人丁寧に、プロファイルも絡めてどいつもこいつも怪しいぞと思わせるのは必須だったんじゃないかな。
つまり、大筋のストーリーを映画の枠に納めるために本来の面白い部分を削ったのではないかと思う。
サイコパス事件でプロファイラーまで登場するのに、動機、手口、犯人のトラウマ、何もないんだもの。多分、全部切ったのだろう。
極端な話、ほとんど捜査だってしてないんだもの。
6人の首なし死体っていう言葉から連想するようなサスペンスを期待せずに、やんちゃしまくるはみ出し刑事と、それに振り回される上司の、ヒューマンドラマ寄りの刑事ドラマだとみれば、まあまあ悪くはないんだけどね。
魔性の女の闇
日本での上映は殆ど無かった、ベルギーでベストセラーとなった小説を映画化。女性の首なし全裸死体が6体も発見された、サイコパス殺人事件の犯人捜査を描いたクライム・サスペンス。ベルギー映画というのは、あまり観る機会は無かったが、ハリウッドの様々な作品のよい処取りしたような内容でもあった。
まずは、主人公となる刑事が、若く血の気の多いはみ出し刑事と堅物なベテラン刑事という凸凹コンビは、ポリスムービーにはよくあるパターン。そして、そのはみ出し刑事が、サイコパスの餌食になりかけた女性と恋に落ち、刑事としての一線を超えていくのは、『氷の微笑』でもお馴染み。しかも、その女性が精神科医の美魔女というのも、アルアルの設定。
ストーリーとしては、すべて血を抜かれ、指紋も焼かれ、しかも首まで斬り落とされた無残な6体の遺体を発見するところから始まる。現場近くを捜査していた若い刑事・フレディは、犯人の所から逃げてきたと思われる、全裸で記憶喪失となった精神科医のリナを保護する。フレディは上司の命令を無視して、彼女の記憶を手掛かりに単独に操作する中で、次第にリナの魔性の魅力に憑りつかれ、男女の関係となっていく。
そのことを上司に知られ、現場捜査から外される中で、絞り込まれた犯人と思われた者達も、次々と殺されてく。ラストに浮き上がってきた犯人は、意外といえば意外だか、ある程度、読める展開で「やっばりな」というオチとなっていた。
フレディを演じたウェルマー・デスメットは、金髪で髭を伸ばした筋肉マッチョ。その風貌が『美女と野獣』の野獣の顔を思い浮かべた。もう一人のベテラン刑事・ケーン・デ・ボーウは、役柄も含めて杉本哲太に似ていた(笑)
サイコスリラーではなく、猟奇殺人?
首無しの女性死体が複数発見され、その捜査にあたる刑事達の物語。
ジャンルとしてはサイコスリラーですが、サイコスリラーとしての面白みに欠ける映画でした。
サイコスリラーの面白みは、やはり犯人の精神迷路に誘い込まれることだと思います。
犯行の動機、殺し方の意味、犯人の生い立ちやトラウマ、主人公との関係、等々。
また、猟奇殺人が連続して起これば、恐怖と緊迫感を得ることも出来ます。
この映画ではそういった物が欠落していると感じたため、途中から興味が薄らいでいきました。
サスペンスとして観た場合でも中途半端。犯人の絞り込みが雑過ぎて、この点での興味もほぼありませんでした。
ベストセラーが原作ということですが、私には猟奇殺人という設定を先に作ってしまい、上手にまとめられなかった作品のように感じました。
革ジャンの刑事といえば・・・
はみ出し者刑事とかやさぐれ刑事とか、そんな言葉が似合いそうなフレディ。自宅に帰るシーンもないし、車で寝泊まりしてるんかな?などと考えつつも、警視になったばかりの元相棒のフィンケとはウマが合いそうだったけど、彼がプロファイラーのムルデルを呼んだものだから、勘がいいだけのフレディの意見を聞こうとしなくなった。
犯人の魔の手から逃れた精神科医の女性リナを保護し、彼女から犯人を割り出そうとするフレディは上層部から猛烈に反対される。独自に捜査するハメになったフレディはそのままリナと肉体関係を・・・性欲が抑えられない刑事ばかりかよ!
まぁ、プロファイリングという設定が無理ありすぎるくらい杜撰で、サスペンスを見慣れてる人だったら、「おいおい」と言いたくなること間違いなし。首無し死体という連続猟奇殺人なんだから、もっと犯人の病的なものをプロファイルしなきゃね・・・
とにかくミスリードの連続。最終的には意外とアクションシーンも待っていたり、グロテスク映像に耐えうるなら見ても損はない感じでした。医者の薬物依存をもっと丁寧に扱ってくれたら、社会派サスペンスになったかもしれません。
モザイク
刑事が関係者とやっちゃうってのはなぁと思いつつ、最後まで鑑賞。
猟奇殺人の動機がいまいちわからないが犯人が二転三転してそこに行き着くのね、と少し驚いた。
なかなかそのあたりは面白かったのと皮肉なラストの余韻は良かった。
しかしやたらと股間のモザイク。
そこに視線全部持ってかれる
シリーズ化を熱望したい骨太スリラー
兎狩りの老人が早朝に野原で発見した女性の頭部のない全裸死体。駆け付けた警官隊が放った警察犬は他に5体の死体を発見した。指紋は酸で焼かれて全身の血が抜かれている他は外傷もなく死因は不明。程なく死体の身元は判明するが被害者の共通点が見当たらない。捜査が遅々として進まない中、担当刑事フレディはほぼ全裸に近い状態だった女性を保護する。フレディは彼女が事件に関係があると直感するが、上司であるフィンケはオランダから招いたプロファイラーの分析を優先する捜査を指示して対立、フレディは独自の捜査を始めるがその先には途方もない闇が広がっていた。
グロテスク描写がテンコ盛りと思いきやそこは余り過激ではなく、寧ろ登場人物達の綿密な心理描写に重点が置かれている印象。現代的な捜査プロシージャに楯突いてあくまでも自らのカンで行動するフレディと、フレディとは旧知の仲だが何かと衝突するフィンケの男臭い友情を軸にして捜査線の向こうに広がる陰鬱な人間模様を氷のように冷たく見つめるドラマが圧巻。如何にも欧州産なねっとりとした後味の悪いエンディングが結構カッコイイので、これは『特捜部Q』シリーズの対抗馬として2年毎に映画化してもらいたいです。
ブルガリアワイン
血が抜かれ指紋が焼かれ頭部が切り落とされた6人の女性の全裸遺体が同時にみつかった事件を追う刑事達の話。
生真面目で融通が利かずプロファイリングに傾倒し過ぎのボスに、自分の勘が全てで指示を無視しまくる刑事と自己中でグズグズなポンコツ捜査チーム。
終始シリアスな空気感で話は展開していくけれど、捜査の部分がお粗末でミステリーとしては盛り上がりに欠ける。
仕上げは結構好きな感じだし、それなりには面白かったけどもう一歩という感じかな。
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