「シリーズ化を熱望したい骨太スリラー」アンノウン・ボディーズ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ化を熱望したい骨太スリラー
兎狩りの老人が早朝に野原で発見した女性の頭部のない全裸死体。駆け付けた警官隊が放った警察犬は他に5体の死体を発見した。指紋は酸で焼かれて全身の血が抜かれている他は外傷もなく死因は不明。程なく死体の身元は判明するが被害者の共通点が見当たらない。捜査が遅々として進まない中、担当刑事フレディはほぼ全裸に近い状態だった女性を保護する。フレディは彼女が事件に関係があると直感するが、上司であるフィンケはオランダから招いたプロファイラーの分析を優先する捜査を指示して対立、フレディは独自の捜査を始めるがその先には途方もない闇が広がっていた。
グロテスク描写がテンコ盛りと思いきやそこは余り過激ではなく、寧ろ登場人物達の綿密な心理描写に重点が置かれている印象。現代的な捜査プロシージャに楯突いてあくまでも自らのカンで行動するフレディと、フレディとは旧知の仲だが何かと衝突するフィンケの男臭い友情を軸にして捜査線の向こうに広がる陰鬱な人間模様を氷のように冷たく見つめるドラマが圧巻。如何にも欧州産なねっとりとした後味の悪いエンディングが結構カッコイイので、これは『特捜部Q』シリーズの対抗馬として2年毎に映画化してもらいたいです。
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