テリファイドのレビュー・感想・評価
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アルゼンチン映画は初めて観たと思うが。
新感覚ホラー
アルゼンチンのイメージは広大な大地を駆け巡るラリーカーしか想像出来なかったが、過去様々な国の作品を観た中で、本作の雰囲気には初めて出会った。
描写的にはハリウッドのそれと通ずるものもあるが、根本的に違いがある。
まず、それぞれのシーンが「じっくり」描かれている点。描写が丁寧なのだろうが、少ない台詞の中で一点を長く描くという構成だ。ややまったりした印象にも思えるが、本作の凄いところはそれで感じる恐怖感を持続させること。瞬発的な怖さもあるが、不穏な出来事が迫っていると感じさせられるような独特の空気感に包まれているのである。デメリットになる部分は、分かりやすくまとめず、疑問を残したまま進んでいくところだろうか。ヒントを与えるから皆で考えてくれというメッセージが込められている様にも感じるが、スカッと終わる映画が観たい際にはやや詰まるだろう。
こてこてのホラーだが、幽霊だけでなく、異形の「何か」がやってくる。その「何か」を鮮明に撮ることはせず、何となくボカシのかかった状態で近づいてくるあたりは中々怖かったものだ。
ギレルモ・デル・トロ製作でリメイクされるらしいが、確かに彼がすぐ取り掛かりそうな雰囲気の作品だ。「シェイプ・オブ・ウォーター」も良いが、ダーク・ファンタジーの真髄をまた披露して貰いたい。
久しぶりに怖い映画を観た
あんな家はイヤだ!
すでに部屋の雰囲気だけで不潔そうだし、気持ち悪い。
近くにあんな噂のある家があるだけで、近隣は不安を覚えるだろう。
作品冒頭から早々に訳の分からんのが見えるので笑えるやら気持ち悪いやらで理不尽のラッシュが押し寄せる(笑)
幻想や妄想の類いと思わせない流れに幽霊とかじゃない問答無用のパワー系から様々な現象が。
一生懸命解明しようとするのが好感持てる。
だが、嘲笑うかの如く、出し惜しみのない怪現象が溢れ出す。
博士たちと刑事が、身の安全を省みずに調査し、次元の違う世界を見つけ出す…この発想は中々に面白い。
劇映画でストレートにこの表現を見せて、おきながら、安っぽいB級に見えないのは凄い。
ただ、後半はやや息切れしたのか
バスタブの上で踊る彼女に"オッケオッケ、もう分かったから…‼︎"っ...
なかなか新感覚。
次元の共存
もう台所も風呂場も寝床もクローゼットも安心して使えない。水も飲めない。
ポルターガイスト、謎の生物、寄生、ヤバい死に様、死体、音責め、もう何でもござれなホラーパーティー。
粗さも意味不明さも何のその、力技で押せ押せスタイルの恐怖現象に飲み込まれて非常に楽しかった。
夫婦の衝撃的な事件から遡り、芋づる式に出てくる近所の忌事と超常現象。
調査に乗り込む三人の博士が三者三様の感知方法を取っているのがとてもクールで痺れた。
最初から何だか変な勢い込みだなと思っていたら、解決よりも知的好奇心を優先させているのも面白い。
大発見したローゼントック博士の興奮した姿が本当に気持ち悪くて可愛くて。
強そうなガタイのわりに健康状態の良くないフネス刑事の体当たりな抵抗がもどかしい。
巻き込まれただけの彼の受難が一番キツい。現在も今後も。かわいそうに。
次元の共存、複数の視点、光と影。
意味ありげなことを言われても何が何だか。
正体も目的も手段もよく分からないけど、そんなもんクソ喰らえと言わんばかりのパワーがあった。
起こる事全てが恐ろしく、何よりも幻覚や夢で落とさない所が素晴らしい。
造形がモノ感満載で視覚的にも楽しい。
序盤からフルスピードで飛ばして中盤で少し落ち着き、最後にきっちりラストスパートで駆け抜けてくれるサービス精神に感嘆。
リメイク版も楽しみである。絶対ダグ・ジョーンズが出演してくると思う。
巣
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