「不気味な人狼ゲーム?」ゼイカム 到来 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
不気味な人狼ゲーム?
アンジー、アンジェロ、どれも違う!インド系なんだからアンジって呼んでよ。と、他の家族からは冷たい視線が突き刺さる。だけど、彼女は医師なんだから最も頭が冴えている。そして、敬虔なクリスチャンの家族ということが後々響いてくるのだ。
じいちゃんはほぼ認知症なのだが、それを考えれば許せる暴言の数々。しかし、その息子である父親が一家の長であると目覚めていき、「私を崇めよ」と徐々に独裁者の様相を呈していくのだ。金属のような不気味な物体に家全体を覆われて、テレビからは次々と指令が伝えられ、「これは政府の命令だ」として完全に陶酔しきっている父親。ニュースでもテロ映像が流れたことにより、移民のアンジを過激派のスパイだとしか見ていない愚かさを発揮する。お前はドナルド・トランプか!?
こっそり長女ケイトの旦那であるスコットを呼びつけ、「俺の手下になれ」と従わせるところなんて、やっぱり人狼ゲーム風。じいちゃんが死んで、感染者を一人隔離しなければならないとか、理不尽な命令ばかりを真に受けてしまうオヤジ。壁に指を切断されながらも、妊婦でもあるケイトを気遣い、徐々にオヤジのことが信じられなくなるスコットだったが、毒ガスが放出されてからはアンジをも助けようと目が覚める。
家族間の信頼関係は脆くも崩れ去っていく様子がシニカルであり、結局は自分が一番かわいいというか、威厳だけは保ちたいというおバカな政治家風のオヤジが面白い。でも肉親だから、ある程度は言うことを聞かなきゃならない辛さ。終盤になってからは人間心理ドラマからSFアクションへと変わっていくのが定番なのか、そんなもの要らね~と感じてしまいました。
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