「往年の名作を実写化かつ現代風にアレンジ。その試みはわかるが……。」アラジン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
往年の名作を実写化かつ現代風にアレンジ。その試みはわかるが……。
ディズニー・アニメーションの名作『アラジン』(1992)の実写化作品。
「魔法のランプ」を手に入れた青年、アラジンの冒険とロマンスを描いたファンタジー・アドベンチャー。
監督/脚本は『シャーロック・ホームズ』シリーズや『コードネーム U.N.C.L.E.』のガイ・リッチー。
ランプの魔人、ジーニーを演じるのは『メン・イン・ブラック』シリーズや『スーサイド・スクワッド』の、名優ウィル・スミス。
砂漠の王国「アグラバー」の王女、ジャスミンを演じるのは『レモネード・マウス』『パワーレンジャー』のナオミ・スコット。
オリジナルであるアニメ版は、言わずと知れたディズニーの代表作。私も子供の頃から何度も鑑賞しています。
ジーニーが自由になるところが大好きで、あそこは何度見ても泣ける泣ける…😭
まず総評としては、オリジナルのアニメ版には遠く及ばないが、何となく観ている分には楽しめる作品。
まず良かったところ。
まるで御伽話の様なアグラバーの街並みは美しく楽しい。現実感はないがディズニー作品なのでそこはオッケー👌それにジーニーの荒唐無稽な感じは、よくぞここまで再現したな!と褒めたくなるほど素晴らしい。
また、アニメ版で個人的に違和感があった2点、具体的には水中に沈められたアラジンをジーニーが願い事なしに救い出した点と、最強の力を求めたジャファーが何故か魔人になってしまった点、これらには今回の実写版でフォローが入っており、展開に改善が見られる。
ここからは問題点。
ストーリーはオリジナル版に非常に忠実。細かな変更点はありますが基本的にはほぼ同じです。
ストーリーは同じなんですが、上映時間はオリジナルが90分なのに対して本作は128分。38分も長い。
アニメ版のスピーディかつ無駄のない展開と比べるとやはり冗長に感じてしまう。
キャラクターの価値観などは現代風にアレンジが加えられている。特にジャスミンのキャラクター設定の変更が大きい。
アニメ版では世間知らずなお姫様という側面があったが、本作では王として国を導くという夢を抱く、自立した女性として描かれている。
過去の作品をリメイクするにあたり、アレンジを加える事自体には問題ないと思うが、本作ではそのチューニングが少しずれているのではないか?
冒頭からして既におかしい。
ジャスミンは貧しい子供に露店からパンを与えるが、お金を持っていなくてピンチになる。そこにアラジンが登場し、機転を利かせることにより彼女を救い出す、という展開はアニメと一緒。
ここに非常に違和感。国政について勉強している筈なのに商品の対価を払うという行為を軽んじている。アニメ版のように世間知らずなお姫様という設定ならこの展開に違和感はないのだが。
また、今回追加されたジャスミンの見せ場でもある新曲「スピーチレス」だが、無理矢理嵌め込んだかのような違和感がある。曲調も現代風過ぎて他の曲とのバランスが悪い。
「スピーチレス」を歌い終わった後のジャスミンの演説も、説教臭さがありあまり好きになれない。
そして特に気になったのは、ジャスミンに比重を置き過ぎてアラジンの主人公感が薄くなってしまっているところ。何故ジャファーがアラジンのことを「ダイヤの原石」だと思ったのかも不明だし。
うーん……。これなら思い切ってタイトルを『ジャスミン』に変えるべきだったかも?
たなかなかなかさん、こんばんは。アニメ版見てないので、レビュー、とても面白く拝読しました。「ジャスミン」というタイトルの方が合ってるのでは、というご指摘、実写しか見てませんが説得力ありました。ありがとうございます😊