「往年の名作を実写化かつ現代風にアレンジ。試みはわかるが…」アラジン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
往年の名作を実写化かつ現代風にアレンジ。試みはわかるが…
ディズニー・アニメーションの名作『アラジン』の実写化作品。
アグラバーの王女ジャスミンに恋する貧しい青年のアラジンが、国王の座を狙う大臣ジャファーの陰謀に巻き込まれたことにより、どんな願いも叶えてくれる魔法のランプを手に入れる。ランプの魔神ジーニーの力を手に入れたアラジンの恋と冒険を描いたファンタジー&ラブストーリー。
監督は『シャーロック・ホームズ』シリーズや『コードネーム U.N.C.L.E.』のガイ・リッチー。
アグラバーの王女ジャスミン役には『パワーレンジャー』のナオミ・スコット。
ランプの魔人ジーニーを演じるのは『メン・イン・ブラック』シリーズや『スーサイド・スクワッド』の名優ウィル・スミス。
オリジナルであるアニメ版は、言わずと知れたディズニーの代表作。私も子供の頃から何度も鑑賞しています。
ストーリーはオリジナル版に非常に忠実。細かな変更点はありますが基本的にはほぼ同じです。
ストーリーは同じなんですが、上映時間はオリジナルが90分なのに対して本作は128分。38分も長い。
アニメ版のスピーディかつ無駄のない展開と比べるとやはり冗長に感じてしまう。
キャラクターの価値観などは現代風にアレンジが加えられている。特にジャスミンのキャラクター設定の変更が大きい。
アニメ版では世間知らずなお姫様という側面があったが、本作では王として国を導くという夢を抱く、自立した女性として描かれている。
過去の作品をリメイクするにあたり、アレンジを加える事自体には問題ないと思うが、本作ではそのチューニングが少しずれているのではないか?
冒頭からして既におかしい。
貧しい子供にパンを与えるが、お金を持っていなくてピンチになる。そこにアラジンが登場し、機転を利かせることにより彼女を救い出す。という展開はアニメと一緒。
ここに非常に違和感。国政について勉強している筈なのに商品の対価を払うという行為を軽んじている。アニメ版のように世間知らずなお姫様という設定ならこの展開に違和感はないのだが。
また、今回追加されたジャスミンの見せ場でもある新曲「スピーチレス」だが、無理矢理嵌め込んだかのような違和感がある。曲調も現代風過ぎて他の曲とのバランスが悪い。
「スピーチレス」を歌い終わった後のジャスミンの演説も、説教臭さがありあまり好きになれない。
また、本作の大きな変更点であるジーニーの恋愛描写も必要かどうかと言われると…
アニメ版との違いを強調するためだけに追加されたような気がする。
まるで御伽話の様なアグラバーの街並みは美しく楽しい。現実感はないがディズニー作品なのでそこはオッケー👌
ジーニーの荒唐無稽な感じは、よくぞここまで再現したな!と褒めたくなるほど素晴らしい。
また、アニメ版で個人的に違和感があった2点。
水中に沈められたアラジンを、ジーニーが願い事なしに救い出していた点と、最強の力を求めたジャファーが何故か魔人になってしまった点。
この2点には今回の実写版でフォローが入っており非常に良かった。
オリジナルのアニメ版には遠く及ばないが、何となく観ている分には楽しめる作品。
やはり、ジーニーが自由になる場面は泣けるしね。
ただ、ジャスミンに比重を置き過ぎてアラジンの主人公感が薄くなってしまっている…
何故ジャファーがアラジンのことを「ダイヤの原石」だと思ったのかも不明だし。
思い切ってタイトルを『ジャスミン』に変えるべきだったかも?
たなかなかなかさん、こんばんは。アニメ版見てないので、レビュー、とても面白く拝読しました。「ジャスミン」というタイトルの方が合ってるのでは、というご指摘、実写しか見てませんが説得力ありました。ありがとうございます😊