「に、兄さん!?」HELLO WORLD みりぽんさんの映画レビュー(感想・評価)
に、兄さん!?
フル3Dアニメとしてややカクカクした動きが気になるもののキャラが可愛いしキャストもスタッフもなかなかの布陣ということで期待。
まずレビューサイトで10年後から主人公がやってくるというかなり大きなネタバレが書いてあるので注意である。
何も見ずに観てよかったと思う。
一言で言うとクラウドシステムの擬人化、データのバックアップシステムがこの世界そのものに適応されているという設定。
クロニクル京都。
ふむ、
SAOも手掛ける伊藤監督の得意分野ではなかろうか。
それはそうと…
ねじりパンください。
動きに関して言えば3Dはさほど気にならないレベル。
アニメーターが足りないから今後はこのような作品が増えるのだろうか。
絵面としては及第点。
特に水を飲むシーンはなかなか色っぽくて好き。
3Dの悪い点は動き過ぎるところだと思うが、そういった違和感が少なかったのはよいと思う。
各キャラの魅力が十分に表現されていたと思う。
主人公
頼りない男の子だが中性的でなかなか可愛らしくてアニメっぽい。
特殊能力で色々なものが錬成陣無しに錬成できるようになる。
おそらく向こう側を見てしまったのだろう。
主人公(大人)
さっきの子がこんなオッサンになるのか…一体何があった。
一行さんと付き合って色々成長したのだろうか。
シンジ君がゲンドウになるようなものである。
花が飛んでてくぁいい女の子
名前が分からない、なんだっけ…
勘解由小路さん
かでのこうじさん
読めないし書けない。京都の町名らしい。
この子とくっつくのかなと思っていたら完全に噛ませでちょっと残念。
ここまでキャラ立てておいて使わないのか…
一行さん
物凄い愛想の無さだがとてもしっかりと描かれているので異常にかわいい。
アリスのコスプレには思わずクラクラしてしまう。
これがギャップ萌えなのか。
良い…
カラス
お前は鎧の弟だろう。何で鳥に魂定着させてるんだ。
さて
問題はここからだ。
ねじりパンを一口。
肝心のシナリオについては全体的に尺足らず。
恋愛モノをやりたいのか、バトルモノをやりたいのか。
たぶん1クールのアニメならもっと丁寧に作れたんだろうなぁ。
2時間の尺に収めるのならどちらかを犠牲にするしかないと思う。
そして京都の町を舞台にするという大人の事情も見えてくる。
主人公の立場は逆だがいわゆるバックトゥザフューチャーのようなタイムトラベル作品である。
しかしバックトゥザフューチャーはタイムトラベルがテーマであり、それによるタイムパラドックスでトラブルが起こってしまうコメディー映画である。
この作品はさらに派手なバトルも詰め込もうとしている。
とすると、特殊能力を特訓するシーンはダイジェストにしてカットしてもよかった気がする。
恋愛要素も付き合うまでのあらすじは色々と面白かったがバッサリとカットしてもよかった。
開始の15分でどれだけ加速できるかが映画を面白くできるカギである。
ならば始まってすぐに主人公が特殊能力を発動するシーンから始め、付き合っている一行さんを敵から守ろうとするがピンチに追い込まれ、未来から来た自分のアドバイスによって勝利…とか。
視聴者は置いてけぼりだが開始の15分はそれでよい。その後徐々にキャラを掘り下げていけば設定は理解できるはずだ。
一番魅せたいのは何か、それは京都の町で繰り広げられるド派手なアクションではないか。
そこがとにかく物足りない。
そもそも敵がひたすら湧いて来る雑魚キャラのガーディアンの群れというのが退屈。
やはりバトルモノは強大なラスボスがいないと盛り上がらない。
となると勘解由小路さんに恋敵ととして敵になってもらう筋書きしかないのだが、それはさすがに可哀想かもしれない。
嫉妬に狂い壊れていく勘解由小路さん…
もし実現したらある意味すごく印象に残るキャラになるような?
結局未来の自分が敵のような印象が強くなってしまって、助けた方がいいのか見殺しにした方がいいのかよく分からない展開になってしまった。
確かに主人公を裏切って自分の欲望に猛進したのは事実であるが、彼女を守りたいという意思は共通でなければわかりづらいと思う。
それなら最初から敵として登場してもう一人の自分が彼女を奪いに来るという設定でよかった。途中で捻ったせいでどちらの味方をしたらよいのか混乱してしまう。
似たような設定でまどか☆マギカのキュウベエという畜生がいる。
主人公のまどかの力を利用して自らの世界にエネルギーを引き込もうと企む詐欺師である。
最初はヤンデレバカ女に命を狙われ、どうしてこんなかわいいキャラが殺されかけているのか可哀想であるが、その真相が分かると誰が見てもゴミそのものとしか見えない。
ということは、最初から何かおかしい点を視聴者に見せておけば途中で手のひらを返しても理解してもらえるはずだ。
また、キュウベエと魔女は敵ではないが利害関係は一致している。未来から来た自分とガーディアンは利害関係は相反している。
つまり主人公と未来の自分が敵対すると3すくみの関係になり関係がこじれる。
敵ならばしっかりとした敵、味方ならばしっかりとした味方、ここは割り切ってキャラの立場というものを明確にしてほしい。
あと最後のどんでん返しだが、どうも取ってつけた感が否めない。
もう少し途中で伏線を散りばめて、どこかに引っかかる部分を見せつつ最後にその不可解な点が一気に解けて納得できるという作りにできたらよかったなぁ。
なんだか、ああ、そっちなの?という感じ。
記憶だけコピーしたけど並行世界の一行さんは自分のことを他人だと認識してしまう…
じゃあ今までの苦労は何だったの?
と思っていたらこれは全部夢だったんだ…みたいな。
夢落ちはダメです。
ね、ねじりパン…
さて
映像について一つ注文をつけるとするとキャラの動きよりもエフェクトの使い方の方が気になった。
RGBの原色を画面いっぱいに使うのは今すぐやめた方がいい。
原色というのは(255.0.0)(0.255.0)(0.0.255)(255.255.0)(255.0.255)(0.255.255)である。
まあプロメアでも似たような表現があったが、いかんせん安っぽく見えてしまう。
SAOのようなゲームっぽいエフェクトの方がはるかに格好いいのだが…
なぜ3Dの良さを敢えて殺してしまうのだろうか。すごく勿体ないと思う。
次は一行さんが能力に目覚めてバトルするものを作って下さい。
お願いします。