「いい具合にソニックしている」ソニック・ザ・ムービー S Hさんの映画レビュー(感想・評価)
いい具合にソニックしている
音速のハリネズミことソニック・ザ・ヘッジホッグ。
これの実写映画化と言う事で、当初公開されたそれはそれは酷過ぎるCGに全世界から猛バッシングを受け急遽本編映像を作り直し、実写に耐えうるキャラクターに相成りました。
修正前のモデルに関しては興味があったら調べてみるといいかもしれません。もしあの状態で公開していたら評価は文句なしに0点だったでしょう。
いや、変わってくれて良かった……。
さて、モデルを一新するついでに内容が変わったかどうかまでは定かではありませんが、作中のソニックはゲームで見られる過剰なまでに自信家な面や傍若無人な様子はあまり見られず、生意気でありつつ孤独を嫌う、脆さの目立つキャラクターとして描かれる事になりました。
ここが従来のソニックを知るファンからは意見の分かれるところでしょう。
「キャラが違う」という意見は全くもってその通りだと私も思うのですが……しかし、実写化するにあたってはむしろこれで良かったのではないかとも思います。
おそらく、これはソニックを地球に存在させておくために必要な設定だったのでしょう。明らかに地地球の生態系に存在しないエイリアンであるソニックが、人間に受け入れられるための下地として。何物も恐れず我が道を突き進む自信の塊のようなゲーム版ソニックをそのままで実写映画に出現させると、一体全体ソニックはどのようにして人間と共存しているのか?という理由に苦慮する事になってしまう。今作をシリーズの第一作と捉えると“ソニックが人間と敵対していない”事の理由付けの為の導入作だったとも捉えられます。
そこを除けば、リングが妙な力を持っている事以外は大きく原作から改編されたような内容も無く、ハリウッドお得意の何だかんだメインキャラを差し置いて人間役者が活躍するという糞みたいなハリウッド節も控えめで(トランスフォーマーみたいなやつ)、ちゃんとソニックとエッグマンが主役です。
随所にゲームを意識した演出も盛り込まれており、ゲームファンならニヤリとするシーンも非常に多い。
総じて、ファンにも受け入れる事の出来る良作だったと言えるでしょう。