「共存する決断へ」ヒックとドラゴン 聖地への冒険 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
共存する決断へ
1では人間とドランゴは敵対する関係で始まり最後は共生する。
2ではドランゴを理解しないハンターと共闘する。
それらの過程を経ていよいよヒックは一個人として、バイキングのリーダーとして共存する事をこの作品で決断した。
この作品の素晴らしかったところは共存というのは共に暮らしていくのではなく、離れ離れになるところだ。
ドラゴンにはドラゴンのテリトリーがあり、人間には人間のテリトリーがある。
互いに共生、共闘した経験から理解しあい、決して繋がる事はないテリトリーだが、それが共存していく事に繋がるわけだ。
予告やタイトルから離れ離れになることは想像できた。
ストーリー性は分かりやすいのだが、テーマ性は非常に深い。だからこそ心にドシっとくるような作品で非常に面白かった。
改めて考えても興味深いよね。交わることのない存在なのに、共存しあえてるって。
ただハンターがいなければ混じり合える世界で共存もできたのかもしれない。ただそれを目指すにはまだ時が早い。その辺もなかなか考えさせてくれた。
最後はヒックは歳をとり、アスティとの間に子供を授かり父親となっていた。
その時代ではドラゴンの存在が伝説として語られてると言葉にしていた。
ヒックとアスティ、そしてヒックの子供たちとトゥースとライトドラゴン、そしてトゥースの子供達と最後は交流して終わる。
ヒックの子供たちもまた、ドラゴンの存在を理解しつつも伝説として受け止め共存させていくことを引き継いでくれるのか、それとも混じり合える世界で共存させてくれるのか。
ヒックはヒックにできることをやった。ストイックもまたそうだった。次はヒックの子供達へ。そうやって生き急ぐことなく時代にあった価値観や正しい決断をしてきたリーダーに改めて拍手を送りたい。
東京国際映画祭で鑑賞した為、終演後は監督も登場してくれた。そのため個人的には、より心に残りそうな作品だ。