「もはや車すら関係なし!! 80'sを彷彿とさせるバカアクションは楽しいのだが…。」ワイルド・スピード スーパーコンボ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
もはや車すら関係なし!! 80'sを彷彿とさせるバカアクションは楽しいのだが…。
アウトロー集団ドム一家の活躍を描くカーアクション映画『ワイルド・スピード』シリーズの第9作にして、人気キャラクターであるルーク・ホブス&デッカード・ショウを主人公に据えたシリーズ初のスピンオフ作品。
世界を滅ぼすほどの脅威的ウイルス「雪片」を巡り、犬猿の仲であるホブスとデッカードが手を組み、犯罪集団「エティオン」と対決する…。
監督は『アトミック・ブロンド』『デッドプール2』のデビッド・リーチ。
○キャスト
ルーク・ホブス…ドウェイン・ジョンソン(兼製作)。
デッカード・ショウ…ジェイソン・ステイサム(兼製作)。
マグダレーン・ショウ…デイム・ヘレン・ミレン,DBE。
○新キャスト
デッカードの妹であるMI6諜報員、ハッティ・ショウを演じるのは、『アバウト・タイム 愛おしい時間について』『世界一キライなあなたに』の、名優ヴァネッサ・カービー。
「エティオン」のサイボーグ戦士、ブリクストンを演じるのは、「MCU」や『ズートピア 』の、名優イドリス・エルバ,OBE。
CIAエージェントのロックを演じるのは、『デッドプール』シリーズや『名探偵ピカチュウ』のライアン・レイノルズ。
ん〜〜〜…。
ん〜〜〜〜〜〜…🫤
これはどうだろう…。ちょっと厳しいんじゃないかしらん?
本作はホブス&デッカードによるW主人公形式。
ホブスは第5作『MEGA MAX』(2011)から、デッカードは第7作『SKY MISSION』(2015)からの登場キャラクターであり、『ワイスピ』の歴史的には新参者である。
しかし、『ワイスピ』愛好家なら知っての通り、この2人のキャラの濃さといったら正にカルピスの原液。はっきり言って、本来の主人公であるドムやブライアンすら喰っていると言っても良いレベルである。
この2人が大活躍したからこそ、『MEGA MAX』と『SKY MISSION』はシリーズ中でも1、2を争う面白さだったように思う。
ホブスとデッカード、濃すぎる2人が今回は主役として大活躍💥
ヒューマノイド・タイフーンなこいつらが大暴れするとなったら、シリーズ最高傑作になっちゃうんじゃないの!?
…と期待していたのだが…。
まず言っておきたいのは、ホブス&デッカードは相変わらず最高だったということ!彼らのチャームは映画全編を通して爆発しており、それを観られるというだけですでに及第点は出ている。
新キャラクターのハッティも良い💕ヴァネッサ・カービーのような吊り目で鼻がツンとしたSっぽい美女、大好物なのです…。
脚本はまるっきりデタラメ。
サモアにいる普通のおっさんが、なぜあの特殊な器具を修理することが出来たの?とか突っ込んではいけない。
とはいえ、ホブスとデッカードが主人公の映画で脚本のクオリティなんて誰も求めていないので、そこは無問題。むしろ、もっと破茶滅茶でアホくさい脚本でも良かったくらい。
問題はテンポの悪さ🌀
ターミネーターとのバトルという、もの凄く盛り上がりそうな題材にも拘らず、常にブレーキが掛けられているような歯痒さを感じた。
このテンポの悪さの原因は、偏にランタイムの長さにあると思う。こんなバカみたいな題材で、2時間15分のランタイムというのはどう考えても長すぎる。
本作は完全に80'sアクションの系譜。シュワちゃんやスタローン映画の子供と言っても過言ではない。『ワイスピ』本家のDNAよりも、『ターミネーター』(1984)や『コマンドー』(1985)、『ランボー』(1982)、『エクスペンダブルズ』(2010)などのドンパチアクションDNAの方がより濃いのは明白である。レースとか全然関係ないからねこれ。
例えば『コマンドー』は90分。『エクスペンダブルズ』は100分。80's系アクションのランタイムの限界はやっぱりこの辺だと思う。100分を超えると、最初はFOO⤴︎と思いながら鑑賞していたアクションにも流石に飽きてくる。
本作のツカミは抜群。
正反対なんだけど、何処か似たような生活スタイルを持つ2人の日常を並行して見せていくOPは最高だし、その後のブロマンス的な再会シーンにもほっこり😌
クライマックスのサモア🇦🇸でのバトルも良かった♪
芋虫のように車を連結させてヘリに対抗するカーアクションは可愛かったし、スローモーションを駆使した脳筋すぎる友情パワータッグには爆笑!🤣
…なんだけど、その間にあるロンドンやモスクワでのやり取りが冗長で退屈🥱
特にモスクワの件なんて、ほとんど何やっていたか覚えていない。
モスクワの件をバッサリと切ってしまって、ランタイムを90〜100分程度に纏めておけばかなりの傑作になった気がする。う〜ん、惜しい。
もう一つ。
W主人公にした弊害、つまりホブスとデッカード、両者の物語を描かなくてはならなくなった点が本作の面白みを削っている。
今回のテーマの一つは「家族の再生」。
ホブスとデッカード、共に家族間でのコミュニケーションに問題が生じており、今回の事件を通してそれを回復する。その回復こそが本作の物語の着地点であり結びとなった訳だが、いかんせん両者の問題に取り組んでしまった結果、どちらの描き込みも不足してしまっているという事態に陥っている。
ホブスの家族が集結する件はあまりにも唐突で突飛だし、デッカードとハッティに関しては一体何が問題だったのかすらよくわからない。まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」というヤツである。
どうせ『スーパーコンボ2』を作る腹づもりなんだろうから、今回はデッカード、次回はホブスという具合に、家族ネタを2回に分けて描いてしまえば良かったのに。
まぁあと、これはしょうがない事なんだけども、主人公がドウェイン・ジョンソン&ジェイソン・ステイサムでしょ。
で、最強の敵がイドリス・エルバ。
イドリス・エルバは存在感のある良い役者なんだけど、どう見てもエルバよりもドウェイサムの方が強そう💪
イドリス・エルバがどれだけ強面で追っかけてこようが、「いやいや、こっちはロック様とステイサムっすよ〜。楽勝じゃん♪」という気持ちになっちゃう。
まぁこれはしょうがないんだけどさ。ドウェイサムより強そうな役者なんて、今のハリウッドには存在しないしね。
最後にもう一つだけ。
これは完全に個人的な嗜好なんだけど、本作のコメディ要素に全く笑えなかった😅
単純に何処で笑って良いのか分からん。
ライアン・レイノルズとかロブ・ディレイニーとかケヴィン・ハートとか、物語上不要なのにも拘らずなんとなくコメディアンをキャスティングして、上辺だけの笑いを取ろうとする感じがどうも好きになれん…😒
特に今回のライアン・レイノルズは結構観ていて痛々しかった…。スベってなかった?
走り屋を題材にしていた『1』〜『3』の面影はもはや一切ないし、カーアクション映画になった『4』以降の遺伝子もほとんど残っていない。
しかし、この『スーパーコンボ』シリーズはこのままの感じで、80'sアクション映画路線を突っ走って欲しい。こういうバカっぽい超大作は、この殺伐とした現代社会には絶対に必要なのです!!…ただ、もっとテンポは良くしてね。
ヴィン・ディーゼルとロック様の不仲から、ホブスはもう本編には参加しないという噂だが、こっちのシリーズでは引き続き大暴れしてくれぃ!