「ノーダメージ」ワイルド・スピード スーパーコンボ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
ノーダメージ
やっぱりカーチェイスが面白い。
面白いのだが、昨今はCGが優秀なのでアニメーションと言われても仕方はない。
アクションのバリエーションが豊富で観てて楽しいのだけど、画面の派手さと反比例するかのようにちょっと冷め気味な自分に出会う。
理由は分かってる。
主人公たちが強すぎる。
ピンチにならない。
なんとかしちゃうんだろうなぁっていう無駄な安心感のせいだ。
それ故、緊張感が全くない。
アクション映画には致命的とも思えるのだが…きっとそれを補うかのようにドンドン派手に過剰になっていくような感じだ。
どんな絵だろうと描けば仕舞いだ。
故にアクションの方向は少しずつズレていき、今ではなんかアイデア披露会になりつつもあるのが、どおにもこおにも。
今回の敵はとうとうアンドロイドで、結構強い。それを2人は殴って倒す。
材質は分からんが金属なのは間違いないと思う。その金属をぶん殴り、金属にぶん殴られる。
このシーンのスーパースローな演出はちょっと面白くはあったんだけど、それは殴られてる顔が面白いとか、殴ってる顔が面白いとかの話で、映画的な楽しさとは無縁のものだ。
ただ、この2人。骨も折れない。内臓が破裂して血を吐くでもない。ぶっちゃけて言えは、擦り傷程度の怪我しかせんのだ。
いやいや…そこはほら、しっかりダメージを表現せんと…盛り上がらんくない?
もう徹頭徹尾それなので、上から目線というか、余裕綽々というか…色んな数式が書いてあるプリントを渡されるも、どんな方程式を用いても答えは全部1ですと言われてるようなもんなのだ。何が起きてもイージーゲームの枠組が壊れる事がない。
故に…退屈だった。
後はこの2人はホントに仲が悪いらしく…ラストはお互い歩み寄ったりもするんだけど、途中で何回かやり合いそうなシチュエーションなったりもする。
そん時も悪口をひたすら言いまくるだけで、一触即発の緊張感までは出てこない。
睨み合う無言の間とかさ…そういうピリッとした空気をさ、ちょいと頂戴よ。
結果やらないにしても期待感は膨らむじゃん!
なんかワイルドスピードシリーズ自体がアベンジャーズのような骨組みになりつつあって、食傷気味でもあるのだけれど、ある程度人間としての立ち位置に居ないと、お祭にしかならないのが辛い。
そしてずっと引っかかってたのが時間の縛り。確か…48時間で発症して72時間で死ぬとかだったような。
この映画の中では3日間って事なのだけど、その割には結構色んなとこに飛んじゃうし、準備する事柄も多いし、昼間の時間帯が多いしで…なんなんだそこは突っ込んだ方が負けなのかと思うくらいのボリュームだ。
脳筋馬鹿映画って言われても反論できなくないか…?
まぁ、色々と道理と摂理を置き去りにしたような映画だった。
考える間を与えないくらいアクセス全開いいいいいぃっ!って感じかしら。
ただ、ある意味ブレない。
進化していくのに他の要素を必要としない…そんな潔さも感じる。