劇場公開日 2019年5月17日

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「このクソみたいな人生」ガルヴェストン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0このクソみたいな人生

2021年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 1988年、ニューオリンズ。裏社会で生きてきたロイは、診療所で白いモヤのかかった肺のレントゲン写真を見せられる。咳ばかりしてるし、血痰もある。完全に肺ガンだと思い込んだロイは自暴自棄になり、いつもの仕事を頼まれるが、そこで何者かに襲われ、反撃して相手を殺してしまう。そして拘束された少女ロッキーと出会う。

 テキサス州オレンジ郡から来たというロッキーは金は一銭も持たない。とりあえず逃げることを選択した二人だったが、彼女は実家に立ち寄って衣服を持ってくると言う。そこで銃声。ロッキーは3歳の少女を一緒に連れてきて、仕方なく懐かしのガルヴェストンのモーテルまでやって来る。

 ロイもロッキーも人を殺して逃亡しているという悪の共通項によって縛られている。しかしロッキーはまだ19歳。身を売って生計を立てると言うが、「人生は何度もやり直せる」と諭す40歳のロイ。3歳のティファニーは妹だと言ってるが、ロイにとってはどうでもいいことだ。ただ、二人に海を見せてやりたい。それだけの関係・・・

 途中、腐った野郎に強盗に誘われるが、最終的には殺してしまったロイ。クソみたいな人生だったけど、ロッキーだけには幸せになってもらいたいと願い、雇い主を脅迫しようと思い立ったが・・・という展開だ。

 厭世的なロイと、彼についていこうとする少女。そして幼い子を大切にするモーテルの優しい住人たち。彼は人生に何かを残せるのか?と、最悪の展開を見せながら、その後の人生がまた渋い。

 生かされてしまった20年。このまま贖罪だけで終わるのかと思いきや、あの時の3歳のティファニーが大人になって彼のもとを訪ねてくる。もう涙なしでは見られない真実。そういえば、アメリカ南部であってもかなり気候の違う都市が描かれ、彼らの心をそのまま表しているかのようだった。残りの人生を価値あるものにできるのか・・・自分に置き換えて見てしまい、どこかで善行を積まねばと、ちょっとだけ希望を与えてくれる作品でした。

kossy
カールⅢ世さんのコメント
2021年10月1日

クソって言わないでよ。

カールⅢ世