「何度か見ることで良さが分かる」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD うどんのうさんの映画レビュー(感想・評価)
何度か見ることで良さが分かる
連ドラ版とは微妙に違う2人の立ち位置。
樽田が好きで仕方なかった牧が、どこか春田と距離を置いていて、逆に受け身だった春田が牧への想いを全面に出していて。
最初見た時はそれが違和感として最後まであったんだけど、2度3度と見るうちにだんだん分かってきて、4度目以降は初回の違和感も感じず素直に楽しみました。
連ドラ版でずっと流されてきた春田が最終話の最後でやっと自分の気持ちに気づいて自分の意思で牧を選んで、だからこその映画版での愛情表現。
そうだよね、春田って本当に好きになった人にはとことん素直に愛情表現するよね、と、その無邪気な一生懸命さが、ひたむきさが春田らしくて愛おしかったです。
一方の牧。連ドラ版よりも春田に対して冷たく思えたのは、連ドラの時はただひたすら春田を想ってそれ故に突っ走っちゃったり身を引いたり、それがいじらしくて切なかったのが、映画版ではそれが自分のためにだと感じたから。
仕事でいっぱいいっぱいになってる自分、相変わらず無邪気な春田にイラつく自分、そんな自分の本音をぶつけたら相手が離れていきそうで言えなくて、相手のためではなく自分を守るために、傷つく前に逃げてしまう。
だから真っ直ぐな春田と気持ちがすれ違い、別れようと言われても追いすがることも出来ない。
でも部長に、カッコ悪い自分も全部見せられるのが本当の愛なんじゃないの、と言われて、春田が炎の中で言った、牧と本当に家族になりたかったという言葉を初めて素直に聞けたんじゃないかな。
本音しかない春田と、本音を出せない牧、この不器用な2人の真っ直ぐな愛情を4回目にしてやっと感じることができたので、映画の中盤からずっと泣きっぱなしでした。
最後2人が別々に歩いていくラストは寂しかったけど、何年後かにその続きが見られたらこの上なく嬉しいです。