「あまりにも悲しい仕上がり…」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD 赤苗さんの映画レビュー(感想・評価)
あまりにも悲しい仕上がり…
ドラマ版が大好きで、前売りを買って楽しみにしていました。
ドラマと同じクオリティを映画にまとめるのは難しいだろうと予想はしていましたが、あまりにも雑な仕上がりで絶句しました。
薄っぺらいテーマに破綻したストーリー、完結編どころか続編としてもお粗末すぎます。
シナリオブックも読みましたし、諸事情で2回見ましたが同じ感想です。
やりたいこと(サウナとか爆発とか)をとにかく盛り込んだだけで、テーマや辻褄は後付けという印象。
俳優陣の演技や相性はドラマ版と変わらず完璧です。ときめくアドリブもたくさんあり、本当に感謝です。新キャラも観るまでは不安でしたが、お二人ともさすがの実力で世界観に馴染んでいました。
おっさんずラブのキャラが好きで、とにかく個々のシーンを楽しみたいという方にはおすすめできます。
個人的には春田と牧が結婚してどんな夫婦になっていくのかを見たかったので、完全に期待はずれでした。牧くんの夢の話やワークライフバランスへの葛藤が唐突でなんの説明もなかったため、置いてけぼり感がありました。誘拐や爆発のあたりも突拍子のない展開で、コメディらしいおかしさはなく、ただただ不自然…。
炎に包まれた二人が話し合うシーンですべてが無理矢理にまとめられ、結局牧くんはシンガポールへ転勤して終わり。
エンドロール後のキスシーンは、ドラマ版で見られなかった春田から牧への愛がより強く感じられてとてもよかったです。
反面、渡すシーンもなくいきなりペアリングがでてきたのはショックでした…。
この映画は製作陣が何を見せたかったのか。本当にあのドラマを作った人たちが作ったのですか?
ドラマの続編も発表されましたが、もう素直に期待して待つことができません…。
あんなに好きだったおっさんずラブに、こんなに不満をぶつけてしまっているのが何より悲しいです。もっときちんと、大切に作り上げてほしかった。