「悪夢。素敵な役者さん達に失礼すぎます。」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD yuriさんの映画レビュー(感想・評価)
悪夢。素敵な役者さん達に失礼すぎます。
全身全霊で、魂を削って演じている役者さん達に、製作陣の方々謝って欲しいです。
こんなお粗末なストーリー、お粗末な演出の中を、必死で演じてる役者さん達が、不憫でなりません。
これはなんの仕打ちですか?
連続ドラマで、あんなに素敵な世界を紡いでくれた役者さん達に、こんな浅はかな世界を演じさせるなんて。失礼にも程があります。
愛すべき春田さん、牧くんはどこにいってしまったのですか?
春田さんは、酔っ払ったら、片方の靴下だけ脱いで、そのままの格好で寝ちゃう、ダメだけど、愛すべき人じゃなかったですか?
それなのに、酔っ払って裸で寝てる。しかも隣には知らない男性が同じベッドで寝てる。
牧くんが香港まで、「ニイハオ」って可愛い笑顔で来たのに、すぐ帰っちゃう。
なんかちが〜う!
もう冒頭から、気持ちがついていかない。
あのサウナシーンも。男性の裸を見せたら、女性が喜ぶと思っているんでしょうか。思っているんでしょうね。まじ、デリカシー。
ジャスティスが春田さんの乳首を触った後の、「あがる〜!」の笑顔のドアップ。この時、私の気持ちは、地の底まで落ちました。ドサ下がりです。下品じゃないですか?あの繊細な連続ドラマの世界とは真反対のカオス。
最後には、可愛い牧くんの頭を、部長が木杓で叩く!どーして!?
連続ドラマの部長は、そんな暴力しません。部下みんなに慕われて、ただただはるたんが好きな乙女な部長だったはずなのに。
映画では、ジャスティスにも張り手したり。
冷静なキャラだった武川さんまで、部長を誰かがつき落としたと思いこんだり。愛があふれる故に行動が行き過ぎることはあっても、なんの根拠もなくそんな思い込みをする人じゃないですよね。
ドラマでは、あんなにもみんなの愛があふれていたのに。
登場人物達の切ない想いに痛いほど共感できたのに。
映画では、誰の愛も感じられない。誰にも共感できない。
悲しくて、こうして書いてても泣けてきます。
唯一心が動いたのは、花火を見る牧を見て、春田が手をつなぐシーン。だけです。
でも、そのあとすぐ、ケンカするんですけど。これがまた、?の連続。
「仕事、仕事、仕事。そんなに仕事が大事かよ!?」
連続ドラマの春田さんはそんなこと言わないと思います。営業成績は良くないけど、足を使って、一生懸命仕事をしていました。地元の人にも愛されて。
こんなセリフ、今時、誰も言わないのではないでしょうか。たとえ、頭にカーッと来てる時でも。
男性も女性も、みんな必死に働いて生きていますよ!だから、家庭との両立とか、恋との両立とかに悩むんじゃないんですか。
そして、その後、牧が春田さんに言う
「自分が成長してないだけじゃないですか。」
春田さん、1年間香港で一人頑張っていたの、誰よりもわかってるはずの牧がそんなこと言うわけない。ダメだった春田さんも成長してるはずでしょ。異国で1年間、しかも仕事で。その大変さは誰だって想像できるもの。
こんな陳腐なセリフを言わなきゃいけない役者さん達の気持ちはいかほどだったのでしょうか。悲しいです。
後半の爆発救出シーンも、酷い茶番。その中で必死に演じてる役者さん達がかわいそうで、見ているのが辛かったです。
最後のキスシーンも、とってつけたよう。
あれから、どのようにして結婚に至ったのか、とっても大切なはずの過程を描いていないから、あのキスを見ても、全く心がついていきませんでした。
せっかくの春田から牧へのキスなのに。
ドラマのキスシーンはどれもとっても素敵だったのに。
あの繊細な連続ドラマと同じ製作陣とは思えません。唖然です。
連続ドラマにあった、登場人物みんな、どこか欠点はあるけれど、愛すべきキャラクター達は、映画では忽然といなくなっていました。
なにげなく見始めた連続ドラマに、人生で初めてくらいに心動かされて、大好きだったのに、同じくらいの振り幅で、地に落とされました。
こんなことなら、映画見なければよかったです。美しいドラマの世界観まで、見方が変わりそうで。悲しいです。
役者さん達は、本当に本当に素晴らしくて、大好きなので、これからの作品を楽しみにしています。
この失恋にも似た悲しさ、悔しさ、淋しさが癒えるのには、まだまだ時間がかかりそうです。反抗期の中学生息子に、「ママ、どうしたの?なんか疲れた顔してるよ。」と言われてしまうほどですから。
この映画が、春田が香港で見た夢ならいいのに。香港で見た悪夢。
最後に、あのオカリナさんが、この一欠片も連続ドラマのおっさんずラブではない、この映画を観てどう思っているのか、気になります。私みたいに落ち込んでないといいのですが。