「映画用の過剰な演出と、温かいお客さん」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD ねこやまたぬきさんの映画レビュー(感想・評価)
映画用の過剰な演出と、温かいお客さん
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前評判で「盛り上がったその先の二人」がきちんと描かれているという話を聞いていたが、そんなことは大して描かれてはいなかった。
私は勝手に、「牧への気持ちをストレートに発露する初心者の春田」と、「嬉しいのに自制を求めて自己嫌悪する牧」みたいな、特に映画映えしない展開を求めてしまっていた。
そういう繊細な描写は、テレビ版に比べると大幅に排除されて、部長の可憐さ、新キャラの濃さ、コント、爆発炎上など、とにかく賑やかな映像に埋め尽くされているような印象だった。
映画に比べると、ドラマの春田と牧は、本当にゆっくりと展開していったんだなと後から思い出される。
じわじわと牧のいじらしさや、悲しさが伝わってきて、今までの時代やテレビのあり方にのっとって、「でも結局ゲイの牧はノンケの春田にふられる」という展開を、見事に覆して春田が道路を乗り越えて牧に駆け寄っていったから、ひどく泣けて感動的だった。
乗り越えた後の春田が、牧とどう向き合って生きていくかが、あまり幸せに慣れていなさそうな牧がどのように心を預けていくのかが、本当は見たかった。
映画ってのは難しいものですね。
それでも満員の映画館の、爆笑やため息が救いでした。とても良いお客さんばかりで、その雰囲気はよかったです
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