「省く場所が違うよ」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD ザラメ。さんの映画レビュー(感想・評価)
省く場所が違うよ
単発の頃からこのドラマのファンでした、といっても大ハマリしたのは連続ドラマになってからですけど。
今までになかった話で、いや、普通の恋愛ドラマならありきたりのオーソドックスな王道のラブ・ストーリーなんですけど、それが同性同士のってので連続ドラマでってのは画期的で。
演者の方々の繊細な演技が素晴らしく、特に林遣都さんの目だけで語る演技は本当にすごかったです。
春田役の田中圭さんも「ザ・いい人」を体現したような人を演じきっていて、だらしないけど憎めないやつを好演していました。
吉田鋼太郎さんの乙女モードとできる男モードの差には笑いつつもかっこいいなあ、なんて思ったし、武川さんも表面には出てない本当は熱い男なのも素晴らしかった、マロくんの宇宙人みたいな言動も徐々に恋する青年になっていき、まいまいのふざけたようでいて、実は大切なところを突いてくる観察眼の鋭さや優しさも大好きでした。
また幼馴染のふたり、ちずのからっとした陽性な性格によって、どんだけ春田や牧が助けられたか、そしてそんな春田たちを一歩引いて見てる鉄平さん。
もう本当に大好きな、大好きすぎる世界で、何度この世界に入りたいと思ったか。
だからその世界の続きが見れる、そう思って映画館に行きました。
結果、なんだったんだろう2時間ちょっと、という思いで帰宅しました。
上に書いたようなそれぞれの良いところがほぼなくなってるように思えました。
というか、本当はなくなってないんだろうと思いますよ。
ただ!端折りすぎているだけなんでしょう、きっと。
やけに春田にうんざりしているように見えた牧も、とんでもなく冷たいことを言っちゃう春田も、きっと時間が足りなかった、本当はもっとお互い思い合って、悩んでた、んだろうと思います、思いますけどそれが全くわかんない作り、これにはがっかりでした・・・。
重要なシーンほどカットしているとしか思えないです。
春田の母親との件も、牧の父親との件も、指輪の件も、はたまた香港での浮気疑惑の結末も、牧の夢がいったいいつ発生したのかも・・・それでいて、爆破であるとか香港でのアクションシーンであるとか、ジャスの結婚のシーンであるとか・・・絶対削れたはずですよね。
これで完結だ、とおっしゃってます。
それを思うと、ああ、こんな終わりならドラマで終わってくれてたほうがよかった、と思ってしまいます。
なんだか、俳優さんや脚本家、監督、プロデューサーのインタビューや、パンフレット、シナリオ本などを読めばわかる、らしいですけど・・・そんなの映画にあるまじきことでは?
そんな詐欺みたいな手法使わないでほしかった。
鑑賞者の脳内補完に頼るのはいかがなものでしょう。
聞くところによると爆破やアクションは脚本家と監督のゴリ押しだとか。
それって・・・・・・・・・・どうなの?
こんな感想になるとは思いもしませんでした(涙)
もちろん笑えるシーンもありましたよ、ほっこりもしたし、うるっともきました。
でも足りない、話が全く足りないのですよ・・・。