「大いなる前振りだと信じています。」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD hinahonoさんの映画レビュー(感想・評価)
大いなる前振りだと信じています。
連続ドラマからのファンなので期待値も高かったのですが、あっという間の2時間でした!
「おっさんずラブ」という作品は、何というかテーマパークのような。
非現実的な設定の中で、その中にいる人たちは本当にリアルな感情を持ってその役を生きてくれているので、素直にその非現実世界に浸れる。幸せな気持ちでいっぱいになる。そしてまたすぐ戻りたくなる。とても中毒性のある作品だと感じます。
連続ドラマではジェットコースターのような単純に面白くて笑えるコメディー要素と、ロマンチックな恋愛要素が綿密に入り混じっていることで、軽すぎず重すぎず、幸せな気持ちでいっぱいになる作品になっていましたが、
映画版はそのコメディー要素が主体で、恋愛要素はあまりにも少なかったので、ドラマファンの方々が物足りなさを感じるのはすごく良く分かります(実際私も消化不良な感じが否めません)。
しかしその中でも、恋愛要素も実にリアルに、付き合って1年以上たっている恋人の感情を描いていていると感じました。
付き合いたての大好き!だけの感情の他に、
牧の、20代後半の仕事にも慣れてきて大きい仕事を任させて、仕事が楽しいって心から思えている感じ。恋人の手料理はすごい嬉しいけど疲れている中で後片付けのことも考えてしまう感じ。
春田の、恋人が自分のいない所でいきいき楽しそうにしているのをみて思う焦燥感。メールの返信とかも少なくなってく寂しさとか。自分の仕事はうまくいってないし…。
みたいなところが、ほんと「あるある!」と思って感情移入して観ていました。
付き合いたては本当に相手のことだけ、相手の幸せだけ考えられていたのに…。みたいな自分の気持ちの変化への戸惑いとかもすごいリアルな感情だなと。
それをあれだけコメディー要素満載の映画の中に入れ込めて、ちゃんと感動させられる役者の方々、制作の方々の力量!すごいです!
でも映画版のラストは、本当にこれで完結?と思ってしまう終わり方でした。
映画でも触れていましたが、2人が結婚までいくにはまだまだ乗り越えなきゃならない壁も沢山ありますし、連ドラから観ていたファンとしては、親とか周りの人みんなに祝福されて、本当に幸せなラストまで見届けたい気持ちでいっぱいです。
映画は老若男女沢山の人に観てもらう前提なので、その中で笑って泣けてまた観たいと思えるおっさんずラブの世界観を2時間で詰め込めたすごい作品だと思います。
それとは別に、ちゃんと恋愛としても完結させてほしい!また連ドラで続編、待っています。