劇場公開日 2019年8月23日

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「一回見るとギャグ漫画、何度も見ると純文学。どちらの楽しみ方もOKな作品です。」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD いぬさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0一回見るとギャグ漫画、何度も見ると純文学。どちらの楽しみ方もOKな作品です。

2019年8月31日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

単純

タイトルはダサいし抵抗もある方もいらっしゃるかもしれませんが、試しに気軽に見てみていただきたいです。

俳優さんたちの演技は素晴らしく、描かれる世界は明るさと愛に溢れています。
鑑賞後は爽やかで人に優しくしたくなること請け合いです。

しかし、この作品の作りは複雑です。

一見すると荒唐無稽なストーリーのコメディです。大の大人が本気で恋したり仕事したりしてドタバタ劇を繰り広げます。

そこが逆に、ラブストーリーとしての筋は荒く心理描写もなく、俳優さんの演技頼みだと感じる方も多いと思います。
でも、それは正に製作者の意図したところなのだと思います。

何度も見ると、ちゃんと丁寧に作られたラブストーリーであることがわかるようになっています。

これは、ファンではない人には気軽に笑えるエンターテインメントとして、コアなファンには行間を読む芸術作品として、どんな人にも楽しんでもらいたいと練られているからでしょう。

ラブストーリーとしては、あえて隠してある部分も多く、細部に気がつく方や繰り返して見た人にしかわかりません。

例えば、主役が恋人と結婚(同性なので事実婚ですが)するのか否かということすら、わかりやすい形では明かされていません。しかし劇中にあるセリフで答えは出されています。しかしそのセリフの直後に、登場人物に関する秘密が観客に明かされ、そちらに気をとられるようになっています。

そんな仕掛けに何度目かの鑑賞時に気づいて「あっ、この言葉の意味は…」「この行動をとった理由はこれか!」などと衝撃を受ける、といったことが起こります。

誰が見ても楽しめる作品です。一回見て笑って終わってもいいし、何度見ても新しい感動がある作品です。

いぬ