「見た後に悲しくなった」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD momoさんの映画レビュー(感想・評価)
見た後に悲しくなった
コメディ映画だと思えば楽しめるけど恋愛映画だと思うと残念でしかない。
ドラマ版のどこを好きだったのかによって賛否があると思う。
話の展開が全体的に雑すぎて、粗が目立つストーリーだった。
完璧な脚本などないけれど、ストーリーの根幹がしっかりしていれば多少の粗はスルーできるのに、肝心のストーリーがブレているので細かい所まで気になって仕方がない。
春田と牧の関係は、プロポーズをして受けてからすぐ遠距離になったので、いきなり倦怠期になっていても首を傾げるばかり。花火での喧嘩は結婚して3年目くらいの夫婦がするようなセリフだった。関わるプロジェクト関連の仕事の描写が非日常すぎて、一体なにが夢なのか、仕事の何が楽しいのかも伝わってこない。
部長のパワハラについて、ドラマでは牧ともつかみ合っていたけれど、牧もけっこうやり返していたのでスルーできたが今回のジャスティスには一線を超えた。人工呼吸を取り合うシーンはただのコントだった。
爆破炎上での誓いの言葉。二人の絆がわかる描写がなかったので、やっぱりお前がいいと言われても、なんで?と思った。極限状態で愛を誓っても勢いでしかない。冒頭からの大事なアイテムの婚約指輪はいつ渡したのか、結婚指輪はいつしたのか。家族のことは棚上げ状態。最後の二人がどんな関係になったのか見えてこない。ラストシーンは別れのようだった。
香港アクションが撮りたい(指輪を追いかけさせたかっただけなので渡すシーンがない)派手に爆破させたい(非現実的な誘拐と悪の組織と時限爆弾)営業所員を活躍させたい(誘拐されても携帯を持っている)花火会場で別れさせたい(唐突に始まる喧嘩と都合良く現れたジャスティス)サウナで揉めさせたい(うどん粉かぶったり上司の誘いがサウナ)…など、まず撮りたいシーンありきの展開なので、強引なストーリー運びとキャラの心情がちぐはぐになってる印象だった。映画だから派手な演出は必要かもしれないが、もっと上手く盛り込まないとストーリーが破綻してめちゃくちゃになる…実際になった。
あと悪い意味での裏切りがあるからガッカリ感が強い。さんざんポスターやポストカードでタキシード+ブーケをやっておきながら、あの結婚式は誰が見たかったのだろう。五角関係かと公式が誤解させるように誘導しておいて、匂わせるような場面も感じられなかった。冒頭から指輪を出しておきながら渡すシーンもなく、完結編なのに最後は遠距離にしたこと。
要所要所で笑えたし、ぐっとくるシーンや涙を誘うシーンもあった。
そこはおっさんずラブらしくて素敵だと思う。でも、それらすべて俳優さんの演技力によるものでしかないのがよくわかった。
とにかくストーリーと恋愛部分が残念だった。