「何もかも中途半端」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD ニャロメさんの映画レビュー(感想・評価)
何もかも中途半端
深夜の低視聴率ドラマが映画化されるまでに至ったのは、おっさんずラブの世界が好きなコアなファンの応援があったから。
また、直前の再放送を見て映画に興味をもってくれた方々も多くいます。
公式は映画をもってファンに恩返しができたと言っていますが、ドラマおっさんずラブが好きな観客が見たかった物語の続きや世界観は無視して、初見の一般向けにシフト。
でもファンも切り捨てたくないからファンサービスもそれなりにして、自分たちがやりたいことをやった結果、どちらに対しても響かない作品になったのだと容易に察する事ができます。
監督と脚本家がゴネて入れることになったという爆発、カンフーなどのアクションとわちゃわちゃシーン(インタビューでご本人たちが語ってました)。
プロデューサーや俳優部が危惧した通り、おっさんずラブの世界をぶちこわしていました。プロデューサーがオフィシャル本で語っていた通り、ふざけすぎましたね。
監督と脚本家たちはおっさんずラブという設定で遊ぶだけ遊んで、テレビ朝日はコンテンツを大きくしようと躍起になり…真剣に向き合い役を生きた俳優陣が気の毒でなりません。演技は本当に素晴らしかったです。
おっさんずラブの魅力は、登場人物の細かな心理描写、真剣な恋愛ドラマの中だから面白かった少しのコメディ要素、日常の中で起こる切なさやときめき、役者の繊細かつ大胆な演技であったのに、それらが全部削がれてしまいました。
客観的に見て映画自体のクオリティもひどい。
最低限の伏線、話の辻褄、起承転から結に至るまでのエピソード、話の鍵となってたアイテム(指輪)の結末が抜けており、物語として雑すぎます。
コメディパートとシリアスシーンの余韻やカメラワーク、効果音、照明なども、予算が少なかったはずのドラマの方が断然よかったです。
「ファミリームービーだから」では納得できないチープな仕上がりでした。
家族、夢がテーマといっておきながら、牧と春田が家族に向き合う描写、共に生きる決心や結婚という現実に向き合う心の変化や成長の描写はゼロ。
牧が春田の何が嫌になったのか、狸穴さんや仕事のどこに惹かれて仕事にのめり込んで行ったのかわからないので、牧の夢を追う気持ちもわからない。
ドラマでは視線ひとつでバンバン伝わってきたものが、114分かけて何も伝わってこない映画の空虚さに悲しくなります。
宣伝も五角関係と謳いながら単なる当て馬というのは、巧妙なミスリードというよりあらすじを偽ってるだけ。
グッズもあれだけ煽って買わせておいて、劇中使用アイテムも出てきてるんだかなんだかわからない始末。
続編はあると思いますが、少なくとも監督はチェンジ、脚本も独りよがりにならないよう書いて欲しいです。
ほんとに残念。
まさに同感です!
アクションシーン、爆破シーンは本当にに不要でしたし、これぐらいしておけばOL民は喜ぶだろうという奢りのような物を感じてしまいました。
気持ちを代弁して下さりありがとうございます。
映画を見てから、泣きたいような腹立たしいような、、私の気持ちを明確な文章で代弁してくださったように感じます。
ありがとうございます!
アクション映画作りたかったら、他に作れば良いのに。
娯楽映画に、おっさんずラブの登場人物をムリムリ当てはめて、ファンサービスで春田と牧のシリアスシーンを入れといた。みたいな感じでした。