「君を好きになってよかった。」劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD おにぎり3さんの映画レビュー(感想・評価)
君を好きになってよかった。
※後半に物語の核心に触れるネタバレがあり
※個人的にうーん?な点も書いてます
■ネタバレなし感想
すごく面白かったです。
お金と時間が許す限り、牧と春田、ひいては他のキャラ達に会いに行きたい。
あの楽しい掛け合いにゲラゲラ笑い、OLの優しい世界が生み出す多幸感にまた浸りに行きたい。なんなら映画館に住み着いて1日中観ていたい。
そう思わせてくれるのに十分な映画版でした。
ドラマの終了から1年、春田と牧は上海と日本で離れてしまったけど、離れている間も2人はメールをしたり、テレビ電話でやり取りしたり、時には休みの日にどちらかの元へ足を運んだりしてせっせと愛を育んでいるんだろうな…
そんな感じで2人は幸せに暮らしているんだろうな…
と想いを馳せる日々でした。頭おかしいですね。でも私は本気です。
それくらいおっさんずラブというドラマで出会った牧と春田というカップルは、(フィクションだとわかっていても)幸せを願わずにいられない最高に尊いものでした。もう想いを馳せるだけで涙が出そう。
そんな感じで、尋常ではない牧と春田への思いを抱えてドラマ終了からの1年を生きていた私ですが、同じく1年の時を経た劇場版の牧と春田…というか主に春田はとんでもなかったです。
とんでもなく牧のことを好きになっています。え、最高……
ドラマでは牧(と部長)に想いを寄せられててアワアワしつつも、最終的には牧の気持ちを受け入れて自らプロポーズまでした春田が見れました。
劇場版では、本当にその先が見れました。
ネットのインタビューで「プロポーズからの一年で春田の好きの方がちょっと上回っている」といったニュアンスの徳尾先生の記事を拝読しました。
もともと人との距離感がバカ………おかしい春田ですが、劇場版では牧と接する時、明らかに牧だいすきオーラを巻き散らして、コミュニケーションがだいぶ積極的になっています。付き合ってることを特に隠す気もなし。
ドラマを見返してから映画を見ると、よりその成長がわかります。
「俺は彼氏なの?彼女なの?」とか言っていた春田はもういません。
ドラマでは牧からの好意に流されるだけだったあの春田が…あの春田が…!
もうこれだけで最高以外に言葉が出ません。ほんとに最高。
そしてさらにはRevivalの歌詞を彷彿とさせてくれるお祭りの牧と春田も拝めます。あれ、これ映画のレビューだよね?私よの妄想じゃないよね…?
この2点だけでも、牧と春田のその後を一年の間ずっと待ちわびていた一ファンとしては、最高の映画をありがとう…実質タダ…と手を合わせて拝みたくなりました。映画館だったのでそれは我慢しました。
と、ここまで牧と春田のことだけ書きましたが、劇場版ではマロと蝶子さん、武川主任の新たな…だけでなく、新キャラの狸穴さん、ジャスティスのその後まで提示してくれます。
うやむやにして、あとは観客の想像に任せるよ!みたいな展開は一切ありません。
こんなにファンに優しい親切設計な映画他にないんじゃない?
私自身はドラマからのファンなので、ドラマ版を見てないという方に対してオススメできるのか?という点においてはちょっとわかりません。
なぜなら上述の通り、多分な欲目を持って鑑賞しているからです。おっさんずラブが好きすぎて冷静な評価ができない。ごめんなさい。
でもドラマから含め、全力で推せるだけの作品だと思っています。
一応映画の冒頭では、ドラマではこういう山場があったんだよ!というのを、断片的ではありますがドラマの映像を挟んで教えてくれますし、知らなくても怒涛の勢いに飲まれて、見終えた後は、なんか面白かったな…って感じられるのではないでしょうか。
ですので、ドラマを知らなくても大丈夫です。
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※映画の核心部分のネタバレ含む
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❶OLの世界でバッググラウンドに身内の死ネタを抱え、かつそれを明らかにするキャラが登場するとは思わなかった
❷爆破シーン………いるぅ〜?
❸ちょっとご都合展開(春田のラッキーに頼り)過ぎじゃない???
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以下で1つずつ説明します。
❶死ネタ
映画の序盤から春田のことを兄のようだと慕うジャスティスは、なんと過去に両親と兄を亡くしてしまうという辛い経験の持ち主でした。
それが判明すると、ジャスティスが朗らかな振る舞いの合間で見せていた暗い表情の理由も、春田に「お兄ちゃんみたいですね」と懐いていた理由も大いに納得がいきます。
でもこれは私が勝手に感じたことなんですが、おっさんずラブの優しい世界で死ネタが出てくるとは思わなくて、ジャスティスの告白を聞いた時は「ま、マジかぁ…」と思いました。マジかぁ…辛いね……重いね……
もちろんOLがどんなに優しい世界でも、カバンを引ったくろうとする輩はいるし、病気や怪我はするだろうし、最後は死ぬと思います。当たり前です。
言わないだけで人の死を経験してる登場人物もいるかもしれません。
でもそれが1人のキャラの重要な要素の1つとして絡んで来て、春田の背中を押す大事な場面で、ストレートに言葉で明らかにされるとは思いませんでした。なんかそういうのはOLの世界で見たくなかった。
例えばドラマでは、ゲイである牧や武川さんが過去にそのセクシャリティゆえに苦い経験をしたのだろうな、と察することができる言動がちらっと出てきます。
でもそれだけです。
その過去を深く掘り下げて提示することなく、ノンケの春田を好きになってしまったゲイの牧の気持ちの葛藤を描くことで、過去の牧の辛い経験をこちらが十分に想像させられました(この葛藤も林遣都さんの表情だけで表現されているのですごい。見てない方はほんとにドラマ見て欲し(略)。
なので言葉にして「両親と兄が死んでいる」と提示されるのは、上手く説明できないんですが、私個人は違和感がありました。ごめんなさい。
あと、なんとも不自然なタイミングで現れて唐突な告白だったのも、いや…急だな?!と思ってしまいました。
ジャスティスが春田にお祭りに行くのか問うシーンがあったので、別に遭遇すること自体は不自然ではないんですが、それにしても登場の仕方が本当に唐突なので(春田と牧が喧嘩別れした直後にスッと出てくるという…)、い、いつから見てたの?つか全部聞いてたの?と、なんか色々気になります。
❷爆破シーン
なんやかんやあり、鳳凰山グループは事もあろうに天空不動産の社長令嬢と春田を誘拐・監禁した挙句、時限爆弾まで設置します。
この事を本社で狸穴さんとともに知った牧は、春田の危機に居ても立っても居られず、単身会社を飛び出し、春田達が監禁されている湾岸地区に赴きます。
春田のことになると平静を欠きがち牧なので、愛する人のために矢も盾もたまらず駆け出すその姿には、否が応でもこちらの胸が熱くなります。
花火大会で振られたのに、やっぱり春田の事だと一生懸命になってしまう牧は、なんだかんだ言っても春田を愛してるんだね…
とホロリときつつも、ところで牧はどうやって2人の監禁場所がわかったの?名探偵リョータなの……?頭をよぎる疑問。
そしてここからがこの映画での一番の個人的んん〜??となった点です。
この時限爆弾の爆発後の燃え盛る炎の中で、牧と春田がそれぞれ相手に対する本音を吐露し、想いを確かめ合うという大事なシーンがあるんですが、なんでそれをこんな非日常の中でやってしまったんでしょうか。
まぁね。映画だからね。大画面だしね。爆破とかアクションとか派手なシーン入れたいですよね。わかる。
わかるけども、必ずしもそれはOLに必要だったのかなぁぁぁ????
爆発シーン自体は良いんです。いれてくれて全然いい。
予告で見た時、いや爆破って…と思ったけど、OLの世界なら誰も死なないってわかってるから(死ネタが出たけど)安心してみていられるし、部長と牧の小競り合いは腹を抱えて笑いました。
でも!
なぜ!
その火事場で!
牧と春田の想いを確認させないといけないんですか…!!!
このシーンで、春田は牧に対しての強い想いを打ち明け、これからの2人に訪れるであろう幸せな未来を観客に想像させてくれます。
一方、ドラマのラストで「俺もう我慢しないって決めたんで」と宣言した割には映画でもやはり我慢し通していた牧も、そんな春田の気持ちに正面から向き合ってやっと自分の本心を伝え、お互いの想いに触れて愛を再確認します。
こんなのもう、もう最高以外に言葉がないです。
映画のクライマックス、胸熱シーンです。
で も ふ た り の 周 り は 火 の 海
嘘でしょ…
最高の告白をしてるのにとんでもねぇ非日常の只中じゃん….
頭では「映画規模だから…」と、わかっていても、こんなの気持ちが追いつかない。
別に素敵なロケーションの中じゃなくてもいいんです。
春田家の食卓でもいいし、職場でもいい。
とにかく火の海の中以外でその告白が見たかったなぁ…と、いう気持ちが、鑑賞を終えた今もずっっっと頭を巡ります。
うん…いや…なんか…命の危機に晒された中での発言だと、たとえ2人のその気持ちが本当であっても、なんかこう…あの時この2人死にかけてたからな……むしろあんなに差し迫った状況に追い込まれないと、本音で向き合えないの…?違うよね?二人の絆はそんなもんじゃないよね?
っていう軽い疑念をこっちが勝手に感じてしまってですね…せっかくの一世一代の告白なのに……
余計な思考を抱かせる火の海!(泣)
気にしなければいいだけだし、勝手に気にしすぎていることはわかってます。
あと、こんな感じでグチクチ言ってはいるんてすが、このシーンは4回見て4回とも泣きました。
火の海の中でも最高なもんは最高です。
ただ火の海でなければもっと嬉しかったなという、個人の感想です。
❸ご都合展開
詳細は省きますが、2つほど伏線の回収の仕方が、単にすごいラッキーな偶然だよね??と思う部分がありました。でもまあみんな幸せになれるんならいいのかな。
……い、いいのかなぁぁぁ?
ご都合展開が苦手な人にはきついと思います。
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■総括
個人としては気になる点もちらほらありました。
でも100人いれば100通りの感性があるように、全員が満点をつける物語なんてないと思います。
その気になった点を含めても、それを補って余りある大団円のエンディングで、私はおっさんずラブという映画を心の底から楽しむことができました。
気になる点もツッコミながらみれるので、ラブコメディとしてはあり寄りのありな展開なのかもしれないです。
私が一番見たかったのは、一年間交際した牧と春田の関係の変化でした。
そりゃあ春田と牧の楽しい食卓シーンや、もっとイチャつく2人が見たくなかったのかと言えば、見たかったです。そんなもん超見たい。それだけでも延々と見てられるから、個人的には120分それだけでもいい。
でもそれでは映画として成り立たない事もわかります。
ドラマからのファンが満足でき、なおかつドラマ未視聴の観客でも楽しめるものの兼ね合いを考えてOLチームが作ってくれたのがこの映画なら、公式様には感謝の言葉しかありません。
一年ぶりに春田達に会わせてくれて、本当にありがとうございました。
しかしながら、欲を言えば家族になると決意を新たにした2人がお互いの指に結婚指輪をはめてあげたであろう場面も見たいし、春田の母ちゃんにまきとの結婚を認めてもらえたのかも知りたいし、フィリピン出向から戻った後の牧と春田の生活も見たい。
2人のその先を、みんなのその先をもっとたくさん見たいです。
我ながら強欲すぎると思いますが、言わないと伝わらないので言います。
いつかまた、おっさんずラブのみんなと会えますように。
待ってます…!!!!!