劇場公開日 2019年3月30日

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「齢還暦の妖艶なアネット・ベニングが素晴らしかった!」リヴァプール、最後の恋 HALU6700さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0齢還暦の妖艶なアネット・ベニングが素晴らしかった!

2019年4月19日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

単純

「#キノフィルムズの日」のTwitterキャンペーンに応募したら、キノフィルムズさんのご厚意で、配給作品の『リヴァプール、最後の恋』のムビチケのペア券に当選させて下さったのですが、ただ、京都市近郊での公開館はTジョイ京都でのみの上映でしたので、先日システム障害のために観る事が出来なくなってしまった『天国でまた会おう』の時のように、第2週目から一気に上映回数が激減しないうちにと、3/30(土)に公開した後、4/4(木)に、慌てて鑑賞に赴きました。

映画自体は、オスカーを獲得したこともある往年の大女優と30歳も年下の駆け出し俳優との恋模様を描いた、恋愛映画と言うことでしたが、一緒に観に行ってくれる異性の友人も居ないので、仕方がないので年老いた父親と一緒に鑑賞に行って来ました。

私の場合には、特に、過去のモノクロ映画時代にアカデミー賞助演女優賞を獲得したグロリア・グレアムという女優さんの事も全く知らなかったですし、出演俳優さんに対する情報もほとんど知らずに観に行ったのですが、50歳過ぎのグロリア・グレアム役を演じていたアネット・ベニングは、略歴を調べてみますと今年でちょうど還暦を迎えるにも拘わらず、その年齢を感じさせないとてもチャーミングな女性を演じてられていて、すごく魅惑的でしたね。

先月に劇場鑑賞してきた、MARVEL映画の『キャプテン・マーベル』でのウェンディ・ローソン博士役とは打って変わって、その豊満なスタイルをはじめ女性らしさをふんだんに発揮し披露していました。

そしてこのグロリア・グレアムとの恋模様の回顧録を記した当事者でもある、恋人ピーター・タナー役演じるのは、『リトル・ダンサー』(2000年)で10代の主人公の少年役を演じていたのが今では懐かしい、あのジェイミー・ベルがもう30歳過ぎの青年の役を演じているのが何やら感慨深かったですね。

映画のお話自体は、実話ベースと言うこともあるからか、これといった話題性に富んだお話しではなく、歳の差、キャリアの差を超えた真剣な恋愛物語であって、さして目新しさのある話でもありません。

公演中に倒れ死期を悟った往年の大女優グロリア・グレアムが元恋人のピーター・タナーの住むリヴァプールでの療養を望む辺りは、交際していた当時、まだ駆け出し俳優だったピーター・タナーの将来を考えて、自分の方から一旦は身を引いたはずのグロリア・グレアムが、昔の恋人にまたもや厄介になるというのは、事実にせよ、あまりにも、わがままが過ぎると思われる人も居られる様ですが、4度の離婚の末、孤独な生活を送っていた彼女からすれば、元カレのピーター・タナーから一旦身を引いてはいたものの、よほど彼の事が忘れ難かったのでしょうね。

こんな私の場合にも、過去、20代後半に、マリッジブルーからなのか婚約者の相手側から一方的に結婚3ヶ月前に婚約破棄された経験があるのですが、そこまではよく有る話ですが、その後、3ヶ月が経過し、当初の結婚式に相当する日の前後に、「もう一度会って欲しい。もしも来てくれなくてもあの喫茶店でいつまでも待っています。」と、面倒臭い文面の手紙が届き、事件や自殺でもされたら困ると思い、一応喫茶店まで顔は出して来ましたが、いざ出向くと「寄りを戻して欲しい。」という相手のわがままぶりにほとほと呆れ果てて、逆に説教をしてギャン泣きさせてしまうに至った事を思い出しますが、仮に、その寄りを戻そうとする理由が、その婚約者も死期が迫っていたとしたら、私もそれなりに同情的にもなっていたのかも知れないなぁなどと思って本作品を鑑賞していた次第です。

さて、映画についてお話しを戻しますと、リヴァプール劇場で、椅子に座りながら、グロリア・グレアム(アネット・ベニング)とピーター・タナー(ジェイミー・ベル)が『ロミオとジュリエット』を朗読し合うシーンが実に印象的。

また本作のエピローグにて、映画『悪人と美女』にてグロリア・グレアムが実際にアカデミー賞助演女優賞を受賞した当時のフィルムが紹介されますが、サンキュー・ベリーマッチ!!と述べるだけで、あっさりと素っ気なく立ち去ってしまう姿を見ますと、やはり素顔のグロリア・グレアムは飾りっ気のない率直な女性だったのでしょうね。

そして、本作は、70年代の音楽映画としてもすごく良い選曲をしており、グロリア・グレアムのお気に入りのビデオだったエルトン・ジョンの楽曲「Song For Guy」や、ホセ・フェリシアーノによる「California Dreamin’」など、リヴァプール音楽に併せて初期のカリフォルニアサウンドを。また更には、エンディングタイトル曲の「You Shouldn't Look At Me That Way」にはエルヴィス・コステロの書き下ろし曲として本作とコラボレーションするなど、聴き応えのある音楽でも彩られた作品でした。

ただ、あいにくとオリジナルサントラ盤のCDも発売がなされておらず、音楽配信サービスの<Spotify>にて、本作品の原題「FILM STARS don't die in LIVERPOOL」で検索すれば、どうにか聴くことが出来るので、是非皆さんもご視聴下さればと思います。

私的な評価としましては、
オスカーを獲得したこともある往年の大女優と駆け出し俳優との歳の差を超えた恋愛映画以上に、本作には、これといった目新しさはないですが、もし自分が年老いて余命いくばくもない状態になった際に、いったい誰に看取って欲しいかといった、謂わば<終活>にも拘わる様な映画でしたので、故・萩原健一さん主演の『恋文』(1985年)という映画ではないですが、死期を悟った際に傍にいて欲しい人が昔の恋人であったとしても、世間体を考えると、なかなか面倒を看ることはかなわないのが現実でしょうから、自分の場合にはいったい誰に看取ってもらえるだろうかと、今年で52歳になる自分の行く末や終活問題をも、ふと考えさせられた作品でもありました。

ですので、映画的には凡作なのかもしれないですが、そういった点で私的には胸にグッとくるものがある作品だったので、五つ星評価的には、★★★★(80点)の高評価も相応しい作品かと思いました。

※最後に、キノフィルムズさん。この度は、ご厚意により、本作品のムビチケを当選させて下さって有り難うございました。
胸にグッとこみ上げてくるものがある作品で劇場鑑賞出来て良かったです。

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HALU