新聞記者のレビュー・感想・評価
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唸る
あえて批判を
映画を見て問題の多い映画と思われました。
まず内閣情報調査室の描き方ですが、藤井道人監督はかなり綿密な取材を試みたにもかかわらず、内閣情報調査室(内調)について内情は分からなかった旨をインタビューで答えています。
・内閣×マスコミを、日本映画でここまで描ききった勇気、客観性…。『新聞記者』藤井道人監督インタビュー
https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/20190622-00131074/
-しかし、官僚側に取材しても絶対に教えてもらえない部分があった。それは内閣情報調査室の内情である。
藤井「取材した相手で、内調に入ったことがある人や、内調に知り合いがいる人はいませんでした。あるいは、知っていても言えなかったのかもしれません。
内調がどのビルの何階にあるのかは、都市伝説レベルなんです。
ですから映画でリアルに描くのは不可能だと思い、内調のシーンは均一された空間で、色のないローコントラストの世界で表現してみました。杉原の心情の変化に合わせ、そこに色彩を宿らせたりしています。(略)」
の割には、あたかも映画で描かれた内調の姿が「現実」だとあるノンフィクション作家に言わしめ
https://twitter.com/WsT01TkNiOsib04/status/1147408994866102272
世間でもその認識が広がっています。
これは危うい話だと思われました。
いわゆる官僚による情報スピンのようなことは今までも内調に限らずどの省庁でもやられてきたと思われますが、はたして今回の映画の中で描かれた、内調が人の生命を脅かす追い込み行動をまでしていたのが事実(「現実」)なのか、その点はきちんとした事後検証が必要だろうなとは思われました。
完全のフィクションであればそんな検証など必要ではないですが、映画要素のモデルともなった加計学園問題の一方当事者の前川 元文部科学省事務次官が映像として登場し、現実とフィクションの境界線をあいまいにした今作は、どこまでが現実なのかの線引きは、昨今の思い込みと現実の溶解の風潮の中、やはり必要だと思われました。
その意味で最後の大学新設真相の話はさすがにフィクションだろうね、とは思われましたが、
現実の加計学園問題も、映画でも描かれていた通り安倍総理とお友達だった問題はありました。
・安倍首相の「本当のお友達」に、こうして血税176億円が流れた
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51382
しかしもう一方で、文部科学省と獣医学会との関係で行われていたいわゆる「岩盤規制」の問題もありました。
・加計問題、なぜか報道されない「当事者」前愛媛県知事の発言全容
https://www.j-cast.com/2017/07/11302992.html?p=all
https://www.youtube.com/watch?v=j7UrXi764Ag&t=5084
・加計学園「半世紀ぶり獣医学部」は不要か 東京大学名誉教授 唐木英明
https://president.jp/articles/-/22413
即ち、加計学園問題は、安倍政権に深く入り込んだ加計学園理事長の問題と、文部科学省が獣医学会の意向を汲む形で半世紀にわたり獣医学部の新設を拒否していた問題、の対立といえます。
映画としてはこの双方の問題を描いた上で、後者の前愛媛県知事らへの批判があるなら前愛媛県知事らの主張を直接聞いた上でその趣旨を描きさらに反論を描く必要があったのではと思われます。
いずれにせよこの映画は一方の側が善で一方の側が悪だと色濃く描かれ、双方それぞれの問題を踏まえられていないように感じました。
そしてその上でこの映画は現実とフィクションの境界をあいまいにしてしまっています。
この映画の現実とフィクションの境の曖昧さは、精神的には現実と妄想の境の曖昧さに類似してしまうと思われます。
この病的一歩手前の問題は、ネット時代の現代の問題を表していると考えても良いと思われます。
その境界をあいまいにしたままで一方的な現実の善悪価値を混ぜ込める手法は、個人的にははっきり言って危険だと感じてもいます。
一番初めにも触れた内調の件も含め、今一度、この映画の現実とフィクションの境はどこだったのか、観客も含め、藤井監督自身が更なる検証に向かう必要があるのではないかと、個人的には思われました。
非常に他のレビュー評価が高い映画なので、あえて注意喚起として評価の低い点数を付けました。
藤井監督は好きな監督であるのでそれを踏まえてのあえての点数でもあります。
金環蝕を思い出したりしてけれど…
シムウンギョンでよかった
こういう映画、もっと増えてほしい
「向かいのバズる家族」「日本ボロ宿紀行」と、最近ドラマが面白かった藤井道人監督の作品という事と、元々現与党のメディア戦略に興味があったのでこれは必見!と、映画館に足を運びました。
「内調」に関しては良く知らなかったのですが、世論を操作してまで事実を捻じ曲げたい多田参事官の「嘘か本当かを決めるのはお前じゃない。国民だ。」は核心をついた本音だと思います。
欲を言えば、最近問題になったViViのTシャツコラボ企画に見られる様な、若者を取り込む為のイメージ戦略や、お食事会で懐柔されるメディアトップの方々の政権忖度・・等々、具体的な話の裾野をもう少し広げて取り入れたりしたら、より物語に厚みが増したのでは?と思いました。(さすがに難しいか・・・)
とにかく委縮した日本のメディアでよくぞ作品にして頂きました。
作った心意気はよし、というところか
誤報にされた記事を苦にして自死した父親をもつ新聞記者の娘と、政府に都合の悪い内容をもみ消す毎日を過ごしている若手官僚の話。
作った心意気は、よし。
日本でも社会派映画はもっともっと増えてもいいよね。
ただ、映画としての出来は今ひとつかな。
松坂さんは、難しい役が上手くなったけれど、本作では気難しい顔一辺倒で、メリハリに欠けたかな、と残念。
シムさんは、米国からわざわざ日本に来て5年めという設定とはぴったりだけれど、やはり2、3カ所あったたどたどしさは惜しい。流れが切れるね。(ごめんなさいね、あれだけの日本語を聞いておきながら厳しいこと言って…) 逆字幕スーパーで観たら、もっとよいかもしれない。
隠されていた真相が派手なのはドラマの面で仕方ないかなと思うけれど、途中に何度かはさまれるTV番組からの解説はいらないんじゃないかなあ。自分としては、あれが逆に、観客が擬似体験することを妨げてしまっていると感ずる。
でも、最初に言ったように、社会派映画をちゃんと商業映画として撮ろうとした心意気が素晴らしいという点は忘れていません!
2020/4/16追記
あら、びっくり。本作が、アカデミー作品賞でしたね。
今見るべき映画
政府を批判したいならもっと正面から描くべき
この映画を今評価できるのか
評価しにくい映画だ。
別に政権批判がどうこうとかそれ以前に、フィクションと明らかに事実から取った題材が混在しているからだ。
単純にこれを観て今の日本は恐ろしいとも言えないし、逆にこんなの嘘だ!とも言えないのだ。巧妙な作りだ。
完全なフィクションとしてみた場合、善悪があまりに綺麗に二極化していて、微妙。悪の書き方が薄すぎるのだ(新聞記者の話だからしかたないといえばそうだが)。じゃあノンフィクションとしてみようとすると、やはり内調の描き方が疑問に思える...。分からないから。報道で分かる事とその裏側を映画で表現することは別なのに、事象が現在進行形過ぎるせいで疑り深い私には迫ってこない。
あと、演出の意図が分かり易過ぎる。例えば、明らかに内調のシーンが暗いでしょう。あれなんてものすごく巧妙だよね。田中哲司にあまりに型通りの役を割り振っている点(人間臭さが全くないのでフィクション性が高い)、逆にあれだけの表現性を持つシム・ウンギョンを活かしきれていない点はどうかなあと思った。日本人は割と演技の善し悪しを台詞回しで判断していることは分かっていたと思うのだが...。
この映画を今製作して公開した勇気、が讃えられているように思う。しかし、これくらいの映画公開できないなら逆にもう日本終わりなのでは?とも思う。それが勇気になる時代に生きていたくはない。
むしろ私はこの映画を今でなく、数年後に検証して振り返るものとして捉えるべきではないかと思う。「誰よりも自分を信じ、疑え」とはそういうことなのではないだろうか。
この国の民主主義って形だけ
問題提起として素晴らしい
海外では政府の裏側を暴く記者たちを描いた映画が作られてきた。「記者たち」(アメリカのイラク戦争にからんだ話)、「1987」(韓国の民主化運動を描いた話。)とか。どれも実話に基づいているが、本作はあくまでフィクション。ただ異色なのは現政権にまつわる話をベースにしているということ。しかも原作がノンフィクションなので、実話ベースと言ってもいいのかもしれない。
そういう意味で、日本でこんな映画が作られて劇場公開されていることに大きな意味はあるのだろう。観客もたくさん劇場に行っているようだ。
話の構図は結構単純だが、現実を連想させる事件なので、どこまで本当のことなのか混乱した。内閣情報調査室はこんなことやってんの?、本当にこんなことが起こっていたら怖いなとも。ほとんど本当に起こっていることなんだろうけど。
ただ、物語としてのツメの甘さは感じた。あのラストでみんな納得したのだろうか。必要な映画だと思うし、問題提起としては素晴らしい。ただ、物語としてどうなんだろう。問題提起だけでいいのか?
映像はすごいのに残念
「日本の民主主義は形だけでいい」がすべてを物語っている!
ありがちな政府陰謀論
最初から最後まで緊張感が続く
作りものの映画かな
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