劇場公開日 2019年6月28日

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「真実に迫ったドキュメンタリーに沿う作品」新聞記者 R41さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0真実に迫ったドキュメンタリーに沿う作品

2024年2月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

知的

映画だから許されるが、実際の内閣情報調査室の人は良く思わないと感じた。
これはタブーだ。だから面白い。映画だから、忖度はない。
最後に杉原演じる桃李くんがつぶやく「ごめん」こそ、最期まで武士道心を貫ける現代日本人は万に一人もいないことを指していると受け取った。
単純なタイトル、そして純粋な志を持った「新聞記者」は、今やもう存在しないように思う。
良い教育を受け、些細な志を持って入社した高学歴の新聞記者たちは、自分にとってそれがどう影響するのかなどすぐに導き出してしまう。
これが現状だ。杉原は、最後の武士道精神を持っていた唯一の官僚だったわけだ。
この社会に喝を入れたのは日本人ではなく、奇しくも韓国人だったとするキャスト配置は、もう日本人の中に武士道精神を持った人間がいなくなったことを示唆している。
もうどこを探してもいない絶望と、その因子を韓国人に求めているのが、真実なのかもしれない。
この国の構図を群像として表現しながら、登場人物たちが当時の当事者となっていきつつ、それぞれの葛藤が同じように葛藤したかつての人物と同じようになっていくさまを描き、そして決断を迫るのだ。
そもそも、これはあの事件のモチーフではなく、現実として生物兵器実験施設であり、それがメディアによってもみ消され、砂粒となった情報がYou Tubeに流れていたことを思い出させる。同時に、事件は事件でなくなった瞬間でもあったのだ。そこに人々を動かす力は残っていなかった。
「誤報」 内調はそれらをご方とすることに成功したのだ。メディアも当事者たちも誰も口を閉ざした。
日本の構図がこの映画に詰め込まれている。
そして未だ誰も真実を暴露できないことが、この映画の最後として締めくくられているのだ。
映画とはいえ、よくこれを作ってくれた。これこそ真実の表現だ。

R41