「どんな内容でも売れるんだな」名探偵コナン 紺青の拳(フィスト) 小部屋さんの映画レビュー(感想・評価)
どんな内容でも売れるんだな
コナンは原作を最初の方しか読んでないし、コナン好きの友達に誘われるから、映画だけは5年連続ぐらいで見てるコナンにわかです。
それでもコナン映画は序盤のミステリアスな展開や推理の完成度の高さなど、にわかの私でも純粋に映画として楽しめる内容という印象でした。また原作に繋がる内容になっていたりすることもあって、見終わったあとに友達に気になったことを質問するのが楽しかったのですが、今回の映画はそんなコナン映画の面白みがほぼ感じられませんでした。
まず序盤は爆発と殺人事件が起きるいつも通りの展開でした。ただ今までの作品では犯人は黒くなっていたりして謎に包まれているのですが、今回は「こいつ犯人じゃね?」ってキャラ(レオン)が最初に出てくるのでミステリアスな感じが薄く、単純にワクワクしなかったです。また舞台がシンガポールなので、冒頭からオリジナルキャラが英語で話していたり(もちろん字幕有りですが)、マーライオンの口から赤い血のようなものが大量に流れるなど、海外らしさを出すのはいいのですが小学生以下の子どももたくさん見ているのに英語の要素を入れる必要性も特に感じられなかったし、私が親だったら血を連想させるような生々しいシーンを子どもには見せたくないなと思いました。またシンガポールだしマーライオンを使って印象的なシーン作りゃいいだろっていう製作側の意図が透けて見えて冷めました。それ以外にも恋愛描写が変に生々しく感じて目を背けたくなりました。肝心の推理の内容もただ辻褄を合わせているだけで、推理シーンの見せ方もさらっとしていて印象的ではなかったし、黒幕も候補がリシしかいなかったからバレバレでした。それだったらいっそのこと犯人をレオンだけにした方が物語もスッキリするし、レオンのキャラも引き立ったと思います。ただ観客にインパクトを与えたくて黒幕用意しました感が否めなかったです。レオンは中盤まではキッドを追い詰めたり、京極を心理的に操ったりして強キャラ感が出てたのに終盤は見るかげもなかったのは残念でした。また派手なシーンを見せたいがために無理な脚本を作っているという印象も多々見受けられました。そのなかでもサンズの崩壊のシーンなんかは、コナンとキッドがわざと敵にロケットランチャーでサンズを狙わせたとしか思えなかったし、サンズの崩壊シーン作ったら盛り上がるとは思うけど、もっと辻褄が合うように崩壊させろよと思いました。違和感ありまくりでした。なぜそんなことをしたのか見終わった後友人に話しても「はぁ?」みたいな反応されたので、結局コナン映画ってこういう雰囲気だけで面白いと感じるようなファン層に支持されて売れてるんだな(ため息)と思いました。(このシーンは特に意味がわからなかったので、このレビュー読んだ人で解説していただける人がいましたらコメントお願いします🙇)
この映画の良かったところはアクションシーンとエンディングと次回予告ぐらいです。アクションシーンは映画館で見るだけあって迫力もあって、最後に京極が園子を背負いながら戦う所は腹を抱えて笑いました。エンディングは本編では感じられなかったシンガポールの良さが感じられて感動しました。次回予告は今回の映画で一番ワクワクしました。
全体の感想としては、コナン映画の構成を忠実に守ろうとした結果、話の内容がめちゃくちゃになった映画でした。今までの作品もそのような傾向があったと思うのですが、今回は断トツで内容が面白くなかったです。これコナンじゃなくてもよくね?って思いました。これがヒットしちゃうと製作側が甘えて、今後の作品の質がさらに低下していくような気がします。来年から友達に誘われても断ろうかなと本気で考えたくなる映画でした。
サンズ崩壊のことなんですがおそらく、「ロケランの対処」「燃えてるでっかい木みたいなやつの消火」「サンズの上にいる敵や園子狙ってる敵の無力化」を一度にするためにしたんじゃないでしょうか。確かにいつものコナン映画らしくはないと思いましたね(笑)