「ポケモン映画としては名作」名探偵ピカチュウ　_イッセーさんの映画レビュー（感想・評価）

ポケモン初代世代です。小学生向けのアニポケは純粋に楽しめる年齢ではないのでポケモン映画は敬遠していたのですが、本作は意外に好評（明確に言うならハリウッド実写化にありがちな酷評が少ない）なので暇つぶしに鑑賞してきました。
主観的に見てポケモン世界とハリウッド風味が3:7くらいのブレンドなので、がっつりポケモン世界を期待すると肩透かしを食らう作風です。

親子の確執、ポケモン嫌いの主人公という割と重い話（オマケ程度だけど）
リアルCGのポケモン達、ゲーム・アニメと関係ない独自の世界観、活躍するモンスターの渋いチョイスetc･･･

はっきり言って子供向けではないです。子供ウケのよさそうなシーンは特にありません、精々ピカチュウの過剰なリアクションくらいです。が、声がおっさんな上にバトルなしで会話メインなので受け付けない子は耐えられんでしょう。

それなりにポケモンをやってないと分からないモンスターや用語も頻出してそれが当たり前の世界観なので、同作品を殆ど知らない層は演出をスルーしてメインストーリーを追いかけるしかなくなります。
が、サブイベント（≒演出）が九分九厘の作品なので、肝心の演出をスルーしてしまうと何も残らないので評価不能でしょう。

要するに視聴者を選ぶ映画です。

個人的にはですが、ポケモンを強化暴走させる薬、遺伝子操作、進化促進、人との融合、ミュウツーラスボスなどは初代～金銀世代が幼少期に読んでたコミカライズ作品ではお約束の展開なので、それを大迫力のCGで描写されると、幼少期に想像していた世界観と重なるので、懐かしさと製作者の同作品へのリスペクトに感心しっぱなしでした。
スタッフロールでGB版にスポットを当てた点からしても、完全に黎明期世代を意識しているのが分ります。

初代～ルビサファ辺りをプレイ済みで、アニポケの映画も見てて、かつ洋画も好きって層は間違いなく楽しめる。
逆にそのターゲット層から離れるほど知らない、分らない、つまらないに陥る可能性大。

個人的にはどストライクだったので★5です。100点満点での採点なら80点くらい、因みにミュウツーの逆襲は100点です。（無論ポケモン映画という範囲での話）
ミュウツーの逆襲を知らなかったら20点くらいでしょう。

自分だけがそう思うというより、実際に初代映画が米国に上陸してセンセーションを巻き起こしたあの時代の衝撃と情景が詰め込まれているのが伝わってきますし、映画全般を通した描写からもそこは確信犯なのが明らかなのでこの奇妙な評価基準で妥当だと思います。