運び屋のレビュー・感想・評価
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淡々と描かれるマニッシュな映像美
時間を大切に生きよう
さすがのイーストウッド作品
良かった。
イーストウッド自身の集大成にしようとしたのか、自身に身を重ねるようなテーマの映画。
最初は冗長なシーンが続く。
確執を抱えた親子の会話。表と裏社会の対比もどこかありきたりな描き方のように見えた。
これからどんな展開になるんだろう、とハラハラするが警察に尋問されるシーンも、裏社会の人間たちとの会話にもあまり緊張感が伝わってこなかった。
それでも目が離せずストーリーに引き込まれていくのは、イーストウッドの怪演のおかげだろう。
老いてからの過ごしかた、人生お金じゃない、などよくあるテーマ、セリフ。それがなぜいちいち沁みてくるのか。経験した人でしか語れない、現せないイーストウッドならではの視点で描かれているから と これもまたありきたりな感想だけれども、人生の深みを味わえるイーストウッドの集大成の映画 と思いたい。
イーストウッドの映画史ももうすぐ、、
頑固ジジイの・・・
クリント・イーストウッドの映画、それも本人が主演した作品の主人公の性格は皮肉れている。いつだってそうだ。
あの「グラン・トリノ」にしても、「人生の特等席」にしても、今という時代についていけず、不満や不平を言い放つ。もちろんパソコンやスマホといったIT機器は大嫌いだ。このアールにしても、自分の職業を追われたのがインターネット通販によるものだから、頭にくるのはよくわかる。そんな時代についていけない人たちの声を代弁し、負けるのはわかっていてもそれでも言わないと気が済まない。
この映画に出てくるイーストウッドは、まあ、よぼよぼ一歩手前といったところか。
歩き方にしても、時速にして3.5キロくらいか?
話す速度も通常の人の半分くらい。
なんにしてもまどろっこしいのだ。
あのダーティ・ハリーの拳銃を打つ時の格好良さはどこにいった!
そりや〜、仕方ないだろう。なんせ、88歳だぜ。
だけど、一つのことをやらせるとすごい。運転にしても不器用に見えて確実にことを運ぶのだ。あまり複雑に考えず、やらせてみせるのなら、88歳の男に任せるのが無難だって思わせる。
アールが人生を振り返って、一番悔いが残るのが家族のことだ。
娘の結婚式にも、孫娘の卒業式にも、自分の仕事を優先させて行かなかった。それなのに、孫娘の結婚式にはちゃっかり行こうとした彼に、孫娘は喜び、娘は自分勝手と叫び、妻は優しくNOと言った。3人3様の受け答えがあった。
そして、最後の法廷で「自分は有罪だ」と言って、裁きを受ける。
それは運び屋としての罪と同時に、家族をないがしろにしていた自分の人生に対しての有罪だったのではないかと思う。そして、なんとも言えないのが囚人たちの労役のシーン。満開に咲いた花をみて満足そうなアールの顔。この場面を見ただけで、ぼくも涙が出たのだった。評価A
家族は大切
チャラ過ぎて重さ格別!
始まってすぐガンガン伝わってくる今回の主人公のチャラさ。寡黙で耐える人物が多かったイーストウッド作品を待ち構えていた当方としては、それはそれで心地よい肩すかしだった。
だが考えるほどに老齢にてチャライとは、パワフル過ぎないか。
主人公の挙動を追いながら、「もう歳だから」「いまさら」と手放すありがちさについて考えさせられる。
俺のように人生を楽しめ。
言う一方で、楽しんだ代償も一つのテーマに。
追いかけ、取り戻し、己がままに行く。
その果ての、年齢分ためこんだ知恵と経験が導き出したティーンエイジャーとは異なる結末の重みには「老人青春ムービー」なんて言葉を思い浮かべてみたり。
とびきりキュートで、しかしながら淋しさ漂う一本だったなぁと振り返る。
しかしイーストウッドの芝居は素なのか、老人ぶっているのか、いまだに分からない。
それぞれに語りかけるもの
長く生きていれば色々ある。
エンディングの歌の歌詞を見て、思い出したので、サミュエル ウルマンの青春の詩を、レビューに替えて、下に記します。いつもスマホのメモにしのばせてる詩。
サミュエル ウルマン
青春の詩(Youth)
青春とは人生の一時期のことではなく心のあり方のことだ。
若くあるためには、創造力・強い意志・情熱・勇気が必要であり、安易(やすき)に就こうとする心を叱咤する冒険への希求がなければならない。
人間は年齢(とし)を重ねた時老いるのではない。理想をなくした時老いるのである。
歳月は人間の皮膚に皺を刻むが情熱の消失は心に皺を作る。
悩みや疑い・不安や恐怖・失望、これらのものこそ若さを消滅させ、雲ひとつない空のような心をだいなしにしてしまう元凶である。
六十歳になろうと十六歳であろうと人間は、驚きへの憧憬・夜空に輝く星座の煌きにも似た事象や思想に対する敬愛・何かに挑戦する心・子供のような探究心・人生の喜びとそれに対する興味を変わらず胸に抱くことができる。
人間は信念とともに若くあり、疑念とともに老いる。
自信とともに若くあり、恐怖とともに老いる。
希望ある限り人間は若く、失望とともに老いるのである。
自然や神仏や他者から、美しさや喜び・勇気や力などを感じ取ることができる限り、その人は若いのだ。
感性を失い、心が皮肉に被われ、嘆きや悲しみに閉ざされる時、人間は真に老いるのである。
そのような人は神のあわれみを乞うしかない
エンドロールで考えさせられ
おじいちゃんすごい
まだまだ現役で頑張って
クリントイーストウッド自身を描いたような作品
素晴しかったです。
削ぎ落として削ぎ落として残った部分をたっぷり堪能する感じの作品。主人公は物凄く危険な橋を渡っているし、周りはピリピリしているのに、本人は飄々として鼻歌交じりにドライブしたりしちゃうので、不思議と笑えてきてしまう。しかもしれっと差別的なワードを使ったり、びっくりするようなことを言う。これが人生90年修羅場をくぐり抜けて生き抜いてきたからできる所作なんだろう。そんな主人公に影響を受けていく周囲の人間(だいたい悪者)も良い味を出していました。
最後の家族とのシーンと、クリントイーストウッドの笑顔、綺麗なデイリーリリーが印象に残りました。90歳でもまだまだ新しい挑戦が出来るしそれで変われる事もある。まさにクリントイーストウッド本人を描いたような作品で、いろんな意味で凄いの一言。まだまだ現役!これからも傑作を生み出してくれるのを楽しみにしています。
名優の集大成
陽気なイーストウッド
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