「父性とは。」運び屋 Fさんの映画レビュー(感想・評価)
父性とは。
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◆ストーリー
主人公は荷物配達のドライバー職を定年退職したおじいさん。老後は園芸農場を営むも時代の波に飲まれ潰れてしまいます。そんな折にただ荷物を運ぶだけで高額バイト代が貰えるという仕事を軽はずみに引き受けてしまいます。
おじいさんは若い頃から仕事人間で、娘の結婚式にすら出席しないほどです。家庭は一切顧みません。当然家族関係は冷え切っています。
軽はずみに受けた高額バイトは組織の麻薬の運搬でした。運搬回数を重ねていく毎にバイト代は弾むも、おじいさんが裏切らないように麻薬組織にずっと監視されるようになったり、徐々に警察の捜査が伸びてきたり、家族関係、違法な仕事に手を付けてしまった事への罪悪感が主人公を苦しめます。
◆感想
物語の核は「人生で大切なものとは...」と言った所ですが、私が印象的だったのはおじいさんの監視役は組織の若い青年で、この監視役がおじいさんの父性に影響を受けて心を開いていく所です。
劇中のシーンで
おじいさんは
・銃を突きつけても屈しない
・車のパンク修理が出来る
・美味しいサンドイッチの店を知っている
・それを一緒に飯を食べる
・監視役が警察に捕まりかけるピンチを救う
これら全て憧れの対象となるような『父性』です。
そして物語の最終局面、詳細は避けますが父性の大事な要素、「家族に規範を示す」が描かれています。規範を教え、社会で間違わないように教えるのが父性です。それを見事に描いています。
物語の核をなすメッセージも凄く感動するもので、いい映画でした。
※精神科医樺沢紫苑著:『父滅の刃』を読了し、“父性”という視点からこの感想を書きました。
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