「お金で買えない大事なものとは❓」運び屋 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
お金で買えない大事なものとは❓
お金で車や貴金属は買えても、どうしても手に入らないものがある。それは何なのか? その貴重な答えを提示してくれているのがこの作品である。イーストウッドが、ノンフィクションにシフトしているのは確かだと改めて思った。この作品も、ニューヨークタイムズマガジンの記事にインスパイアされたものだ。映画のプログラムの巻末にその記事の翻訳が載っていたので、読んだ。名前は違うし、家族のことは一切書かれていなかったが、本人の設定はそのままだ。事実は小説より奇なりということわざがあるが、この話はまさしくその通りだ。麻薬の運び屋が、87歳の老人だとは誰が想像できるだろう? だが、私はそれよりも主人公と家族の関係に心惹かれた。家族のことは記事になかったので、全くの創作ということだが、イーストウッド自身の人生を反映しているという。家庭を顧みず、仕事に生きた日々。結婚式もすっぽかしたせいで、娘とは12年間も口を聞いてもらえない。その娘役を実の娘に演じさせて、すごく身につまされる感じだ。それが、法廷のシーンでは打って変わって幸せそうだった。運び屋の話ではあるが、私には家族の話のように思えた。
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