劇場公開日 2021年6月11日

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「30年後の感慨無量」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 30年後の感慨無量

2025年9月12日
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鑑賞方法:映画館

興奮

驚く

斬新

コロナ禍で前年の2020年からさんざん公開延期を繰り返させられた作品だが、観た結果としては非常に面白かった。冒頭のタイトルロールまで10分以上続くハイジャックのシークエンスを観てるだけで、高校3年の時に観た『逆襲のシャア』からここまで来たのかと涙が出そうになった。ハサウェイも大人になったなあなどと変な感慨に耽りつつ、原作小説のことも思い浮かべつつ。

内容は完全に大人向けのアニメだ。そもそも原作がそうだから当然だが、物語の半分くらいまではモビルスーツ戦が全くない人間ドラマのアニメである。そこがいい。キャラクターたちの芝居もいいし、何よりヒロインである「幸運の女神=ファム・ファタール」ギギ・アンダルシアの造形と声優の演技が素晴らしい。テロリズムの矛盾と絶対民主主義下の無能な政治家たち、移民問題、格差社会、軍による抑圧などというのも、まさに「今」にふさわしい話で、原作者である富野由悠季の先見性とそれを具現化したスタッフと声優たちの勝利だろう。空襲下のハサウェイとギギの姿を通して、モビルスーツの戦闘に巻き込まれて逃げ惑う民間人の恐怖が詳細に描き込まれていたのも印象的だった。それまでのガンダムにもあった描写だが、格段に細かな描き込まれ方だ。僕が長らくアニメを観なくなってたってこともあるが、アニメの表現技術の進歩もここまで来たのかとも思った。あえて難点を言えば、クライマックスも含めてモビルスーツ戦のシーンが夜ばかりなので、モビルスーツの姿がちょっと見づらかったかな。

というわけで出来自体には大満足だったのだが、まだ3部作の第1部だから総合的な評価は全部観てからですね。あと、いくらなんでも第2部まで待たせすぎ。コロナ禍というアクシデントがあったとはいえ、さすがに4年も待たされるとは……。しかも3部作の第2部だからまだもう1本あるわけだし……。どうか第3部はそこまで待たせないでほしい。

バラージ
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