「素晴らしい空中戦の映像と描写」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい空中戦の映像と描写
総合:75点 ( ストーリー:60点|キャスト:75点|演出:90点|ビジュアル:85点|音楽:65点 )
ガンダムは最初のものしか観ていない自分にとってそれほど詳しいわけではない。前知識もない状態で突然この作品を観ていても、誰がどんな立場にいてどんな目的をもって何をしようとしているのかがよくわからなかった。見終わってもよくわからなかったので、結局ウエブ検索をしてようやく内容を理解した。
この物語の冒頭からさも主要人物であるかのように突然登場してきてその後もやたらと登場し続ける美少女ギギは、この壮大な物語の中でどれだけ重要なのだろうか。物語は中途半端な終わり方だし戦いはまだまだ続きそうだし、今後に彼女の重要な役割が出てくるのかもしれない。しかし政治・軍事的にかなり大規模な設定のわりに、今のところ彼女の果たす役割が主人公たちとの交流以外に物語中では殆どなかった。今後の続編があるのならばそれに期待といったところ。彼女以外にも物語は色々と説明不足だし不可解な部分も多くて不満な部分も多い。
物語はさておき、画像と演出には圧倒された。近年のハリウッド作品のコンピューターを使った髪の毛・肌等の映像と動きの描写は、日本がもう追いつく目途が立たないほどに技術的な進歩がある。
しかしこの作品の特に空中戦の描写と映像には目を見張るものがある。飛行する兵器の動き・操縦士目線から見た映像等、その描写と演出の感性は、ハリウッド映画よりも圧倒的に凄まじかった。これは嬉しい驚きだったし、ここには高得点をつけられる。30年以上前の作品『オネアミスの翼』の空中戦も凄かったが、それをさらに上手く高度に発展させていた。惜しむらくは夜の暗い場面が多くてせっかくの映像の良さがよくわかなかったことくらい。
また戦闘に巻き込まれた市民の立場から感じる戦闘の怖さと人々が無力に無残に死んでいく描写も良かった。あまりこういう描き方をする作品は無かった。
ところで内燃機関の乗り物をこの未来の作品中にいまだに登場させるのは、制作側は変に思わなかったのだろうか。船と車が排気音を出して動いているのはかなり違和感があった。