「クェスという棘を抱えて生きている感」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Veetさんの映画レビュー(感想・評価)
クェスという棘を抱えて生きている感
『逆襲のシャア』クェスとの邂逅と別れが、ハサウェイにとって未だ抜けない棘になっていて、それを抱えて生きている、というのがよく理解できた。
だがそれは、彼にとってのマイナスではなく、前進していく原動力になっている。
人の貫こうとする正義には抜けや漏れがあって、決して万民に受け入れられるものではない、ということが明快に描かれていて秀逸だ。
そのほか特筆すべきは、怪物サイズのモビルスーツから逃げ惑う市民、単なるメカのカッコ良さだけでない、その巨体の動き一つで死んでしまう者がいる、ということがちゃんと可視化されていたこと。
単なる子ども向けテレビアニメではなく、立体感のある視点、価値観が感じられた。UCで、ジオンの残党狩り、ロニの怨讐のエピソードを思い出した。
洗練された絵柄、描き込まれたメカ、アニメ表現の向上による多彩で臨場感のある本作は、その見栄えより何より、きちんと人の心の動きが描かれている作品だった。
今後の展開を期待したい。
コメントする