劇場公開日 2021年6月11日

「戦闘シーンはユニコーン以上だが・・・」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 佐藤太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5戦闘シーンはユニコーン以上だが・・・

2021年7月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

市街地でのMS戦はシリーズ随一と言えるほどよく出来てる
飛び散るビーム粒子で熔ける消火栓や燃えあがる芝生、MSに乗られて崩れるビルなど丁寧な描写が人間の視点で描かれており、MSの破壊力や重量感をよく演出している
バーニアを吹かしてどっこいせーと強引に飛ぶ量産MSと、ミノフスキー・クラフトで自在に飛び回るペーネロペーの比較もいい。ファンネルミサイル垂れ流しであっさり落とされるのはちょっとアレだけど

が・・・それ以外のシーンはしんどい
ユニコーンやナラティブよりはマシだし、細かいセリフを除ければ原作には忠実だが、スタイリッシュで思わせぶりな尺の取り方で眠くなる・・・端的に言うとテンポが悪く、富野節溢れる元祖ガンダムのようなスピード感はない
旧来のファンが「はいはい。なんかカッコつけた最近のオシャレなガンダムってやつね」とヘソを曲げるのもわかる。スレッガーさんっぽい容姿だと想像してたケネスも妙にイケメンだし

それと純粋に・・・ギギがキツイ・・・
若い頃原作を読んだ時は小悪魔っぽくてカワイイなーくらいにしか思わなかったが、歳食って性欲薄れたオジさんにとっては嫌悪感がすごい
プルツーのような危うさではなく計算された傍若無人さ、クェスのような子供っぽさや素直さがなく、自分の価値を自覚してる若い女の打算が鼻につく
アニメ特有か?と十年ぶりに原作を読み直したが、そうじゃなかった。こんな嫌な女描ける富野御大はやっぱりすごい・・・

ちなみにマフティーことハサウェイがやってる無差別テロは作中で批判されている通りだが、地球連邦政府という巨大軍閥組織の圧倒的な支配力を考えれば、無駄どころか逆効果で多くの人を不幸にするだけと分かっていてもテロに走ることや、逆シャアで死んでいった人達が浮かばれないというハサウェイの気持ちも分からなくはない
実際のところ原作を読んでると「まぁ最後はアレだしね・・・」と納得する他ないし、後のF91の時代には「ニュータイプ?パイロット特性のある人のことだよ」と一年戦争から続く悲劇も何もかも風化して、さらに後のVガンダムの時代にはバイク戦艦が走り回ることを知っているので無常観を受け入れ、どうせ黒歴史を経て∀で救済されるからええやんと開き直るしかない

戦闘シーンはカッコいいし、ナラティブよりは遥かに良作なのでオススメ

コメントする
佐藤太郎