劇場公開日 2021年6月11日

「SDGsが謳われマルクスの再評価がなされる現代のガンダム」機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Yukiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5SDGsが謳われマルクスの再評価がなされる現代のガンダム

2021年6月21日
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環境テロリストが暗躍する物語は古今東西作られて来た。しかし本作がそれらと一線を画すのは、遠い先の未来の問題としてではなく、現代の差し迫った問題として描いてる点だ。

「1000年後を見据えるとかいうマフティーの活動は、しょせん余裕がある人間が語ること。自分たちは明日の暮らしを考えるだけで精一杯だ」とハサウェイに投げかけるタクシー運転手の言葉は、グレタ・トゥーンベリに対する冷笑的(しかし実感の伴った)視点そのものだ。

我々は子々孫々のために持続可能な社会を思い描かなければならない。そのためには旧来的な資本主義のレジームを脱却する必要がある。しかし現実には「明日の暮らしのため」現在の制度にしがみつく人々との衝突を解消しなければならない。

マフティーがサンダースだとすれば、地球連邦はトランプ政権だと考えても良いかもしれない。(モデルにした/メタファーという意味ではなく、世界ではそのような対立が顕在化しているという意味。)

本作は、ガンダムの設定を用いているが、そこで語られているのは決してSFではなく、現代の地球上の問題だ。

ガンダムシリーズに明るくないため、作品解釈ではなくテーマの解説になってしまいました。お許しください。

Yuki