「“8050問題”とも言われる社会問題に対する答えの一つ」柴公園 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
“8050問題”とも言われる社会問題に対する答えの一つ
犬を飼っている人にとっては共感できる部分がいっぱい!散歩仲間ともいうべきご近所の人たちは本名を知らない、あたるパパ、じっちゃんパパ、さちこパパ、ぽちママ・・・あまりにも仲良くなりすぎて本名を知ることもありますが、ほとんどが犬種と犬の名前で区別する。だいたいにおいて、あいさつする際も相手の顔を見るより先に犬の顔を見るのだ。
そんなゆるーい展開で進む一つの公園を舞台にしたドラマ。3人の中年男性のうち、渋川清彦演ずる、あたるパパだけが独身だ。苔を研究する教職なのだが、仕事以外はほぼ引きこもり状態。一人暮らしを始めたのを機会に柴犬を飼って人と交流しようと一念発起したのが3年前のことだった。
彼らの話題の中心はゴールデン爺であったり、「最近ぽちママ見ないね」などといった、個人的な話よりは犬の飼い主の話題ばかり。また、この会話がすごくよく練られた脚本で、どうして難しい言葉がポンポン飛び出てくるのか不思議なくらい。あたるパパの父親(寺田農)にしても、文学部教授らしく引用話がポンポンと発せられる。
やがて、あたるパパとぽちママの恋バナになっていくのだが、全然先に進まない!多分2人とも恋愛経験値が0のご様子。なんとかしてやりたいと、観客目線ながらもつい応援したくなるほど純情な2人だった。犬というアイテムを使ってはいるけど、何かきっかけがないと外に出られない人たち。やっと一歩を踏み出したと思えるまでなのに、なぜか幸せな気分にさせてくれました。
個人的な話で恐縮ですが、うちのヨーキーが白内障になってから外に出たがらなくなりました。多分、犬仲間の人たちは犬が死んだか俺が死んだか噂してるにちがいない・・・まだ生きてます!