「申し訳ないが手塚眞は映像作家であって、映画監督に向いていないのでは?」ばるぼら けいちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
申し訳ないが手塚眞は映像作家であって、映画監督に向いていないのでは?
僕は手塚治虫先生のフアンで、出版された作品の大多数は読んでいますし、ほとんど持っています。もちろん、「ばるぼら」も持っていますし、何度も何度も読み返し、今も大切に僕の本棚にあります。なので、今回は、非常に期待と不安を混ぜ合わせた状態で観ましたが、不安の方が正解でした。さすがにこれはないでしょう、いくら何でも。お父様が草葉の陰で泣いているぞ!
漫画未読でこの映画を観たら、頭の中は???状態と思います。知っていても、「ふ~」という深い溜息しか出ません。二階堂ふみも、もう大女優なのだから、仕事を選べば良いのに。確かに、彼女は適役かもしれませんが、彼女の裸体が痛々しくて、僕には観ていられません。昔、「恋人たちの時刻」を観たとき河合美智子の裸体を痛々しく感じたときと同じ感覚になりました。また、もっとミューズとして納得できるシーンを示さないと、理解できないと思います。そんなんだから「二階堂ふみはアルコール依存症のフーテン娘役・・・」という、へそで茶を沸かすような、とぼけたネット記事を書かれるんです。違うでしょ、もう。
稲垣君は映画俳優としては、草薙君の域にはどうしても到達できません。美倉役は、彼の人柄が良さがにじんでしまい、漫画ほどの困った人物像(異常性癖・性欲、最後は狂人)になっていません。
そもそも手塚眞は映画監督に向いていないのではないでしょうか。「ばるぼら」を映画化したいのなら、プロデューサーに徹した方が良いのでは??そのことはずっっっと前から感じていましたが、それでも、手塚治虫先生の息子だし、才能はあるのだから、今度こそは、と思って封切り初日に観に行ったのに・・・非常に残念です。以前、筋少のオーケンが彼の映画を観て「何が面白いのか全然わからなかったが、かなり時間が経過したのち、わかった」みたいなことを何かに書いてありましたが、僕は今回も含めて、ずっと前から理解できないままです。
また、昔から思っているのですが、手塚治虫先生の作品は映像化が実は非常に難しいと思っています。日本漫画に初めて映画的手法を取り入れたことは周知の通りですが、作品の完成度の高さと、漫画での表現が最も適した内容が、映像化を阻むと思います。だから、案外とアニメも微妙なのです。もし、実写映画化して上手くいく作品があるとすれば・・・「陽だまりの樹」くらいでしょうか。おそらく。とにかく、悲しい気持ちです。