劇場公開日 2020年11月20日

「先生、ちゃんとしたもの書きなよ。才能あんだから。」ばるぼら 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5先生、ちゃんとしたもの書きなよ。才能あんだから。

2020年11月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

才能が枯渇した売れっ子作家がばるぼらと出会い、潰れていく話。ばるぼらは、スランプ中の作家美倉に憑りついた悪魔。ばるぼらに堕ち、耽り、溺れていく。地獄の底まで。そんな空気感を醸すように、音楽と映像は、ハードボイルド風。スタイリッシュに仕上げてある。
しかしなあ、なんか上滑りしているように思えるんだなあ。これじゃクスリに手を出して、何かに囚われるように幻想を見、駄目になっていった男の話にしか見えないじゃないか。五劫思惟阿弥陀のような容姿のばるぼらの母は、"ムネーモシュネー"と名乗った。何の名だ?と思ったら、ギリシャ神話に出てくる記憶を司どる女神だという。9人ものミューズを産んでいるともいう。ばるぼらが芸術の化身であるのなら美倉が溺れていくのもわからないでもない。だけど、なんだか冷めるんだよな。あれだけ二階堂ふみが身体を張ってるのに。

栗太郎