「ゾッとするほど理性的な作品」ばるぼら 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
ゾッとするほど理性的な作品
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狂気を経なければ、真理に届かない。そんなメッセージを受け取った。
愛の行き着くところに狂気があり、狂気の果てに理性があるという冒頭のニーチェのクレジットを具現化する映像は、一本のMVを観るような感覚だ。
自分の現状を懐疑する凡ての人に、イエスとノーを突きつけ続けるこの作品は、答えの無い結末を観る者に委ねる。
最期に極限状態の美倉洋介が、紙に鉛筆で書き連ねた内容は知るよしもないが、それが彼の最高傑作であることは疑いが無い。
そこに記された真理を尋ねて、人は今日も狂気の縁をさ迷う。
動物的な本能という衝動を描きながら、その先の真理を炙り出そうとするこの作品は、ゾッとするほど理性的だ。
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