「養子のシステムがしっかりしてるんだなあ」インスタント・ファミリー 本当の家族見つけました 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0養子のシステムがしっかりしてるんだなあ

2020年7月11日
PCから投稿

即席の家族が、一難去ってまた一難な日常を過ごすあいだに、しだいにお互いの気持ちが溶解していく様子を、巧くとらえているドラマだと思います。
ただ私は未成熟な人間ですので、正直なことを言ってしまうと、リジーはもはやセクシーです。映画ですので、とうぜんきれいな子が出演しているわけですが、リジーが女に見えてしまう自分自身を反省しながらも、楽しく鑑賞しました。

やっぱり生みの親より育ての親です。ただ映画は辛辣な方向へ落ちず、あくまであっさりしています。気恥ずかしくなるような大団円でしたが、これを受け容れられないほど、自分がひねくれていないことは、幸いでした。

余談ですが、嫌いな俳優ではないにもかかわらず、またマークウォールバーグかよ、と感じることがあります。売れっ子で、出ずっぱりな俳優の宿命かもしれません。Anna Kendrickにもそんな印象があります。日本でいえば大泉洋や有村架純とかでしょうか。
とりわけマークウォールバーグが、眉間に皺をよせてキメの強面をつくったとき、歌舞伎で言う大見得をきったとき「ウォールバーグ疲れ」を強く感じるのです。
リドリースコットのゲティ家で、ウォールバーグの破格な出演料に比べたらミシェルウィリアムズは端金だった、というようなゴシップも、あまりいい印象につながっていません。ハリウッドのスターが幾ら稼いでも構いませんが、財力を考えたらもっと巧く立ち回れた、と思ったのです。
ただし、あの強面がコメディで生きるのも事実です。タフガイで売ってきたからこそ、Tedの気弱でずぼらな相棒が映えたわけですし、Will Ferrellと演じたパパもはまり役でした。この映画もマークウォールバーグの連続登用に対する嫌気さえクリアできれば、ちょっとびっくりするほどいい映画です。個人的にはロンハワードのバックマン家の人々を思い浮かべました。良心的で、ハートウォーミングで、ほろりとさせられました。
また、いつもながらOctavia Spencerが絶妙でした。

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津次郎