「残酷な茨城」ブルーアワーにぶっ飛ばす FMovさんの映画レビュー(感想・評価)
残酷な茨城
なんと、映画を観た後に監督のトークショーがある試写会に当選!答え合わせをするような、わくわくする気持ちで聞き入りました。
監督は女性で、しかも私と同年代くらい。CM業界で活躍されています。主人公まんまですね…笑。周りからも「自分出すなしw」と言われたそうです笑。
トークショーの中で、夏帆さんを起用した理由をおっしゃっていました。「彼女は10代のイメージが強いと思うが、今はもう28。どうやったって過ぎ行く時間を、彼女がそれを今どう思っているのか、ドキュメンタリーのように撮りたかった」
観客には、砂田(夏帆さん)の視点から観て、そして砂田に共感してほしかったそうです。
映画は2018年の夏に撮られたが「その時でなければこの映画はできなかったし、今日この試写会で皆さんにも会えなかった。皆さんも、今この時はまさに過ぎ去っているので、今何をするのか、この映画がそれを考えるきっかけになったらよいなと思う」とのこと。監督はこれを一番おっしゃりたかったのでは?と思います。
私もありました、砂田のようにやさぐれまくって、自分の故郷とか家族とか、変えられない自分の原点みたいなものに距離を置いて蓋をして、がむしゃらに前だけ見て走っていた時期が。止まったら、死んでしまう。止まったら、落ちていってしまう。怖れ、必死に何かにしがみつく。自分なりに深刻でしたが、それは誰しも人生のうち何度か訪れる、転換点のひとつにしか過ぎませんでした。
砂田のように、自分に自信がなかった。自分が大嫌いだった。自分が嫌いだから、自分を大切にしてくれるひとも嫌いになっていた、というわけです。
でも、茨城は、生々しい姿で、ありのままの姿で、そんな主人公を受け入れます。むき出しの命、自然、生と死、食物連鎖、そしてそれが生み出すどうしようもない闇や、時がもたらす残酷さが、そこかしこに転がっている。変わらないと思っていたものが、時の流れによって変えられてしまっている。それはどうしようもなく、砂田を困惑させます。
そんな主人公に、清は「何で距離を置くの?」と聞きます。清の秘密については、観てのお楽しみですね。私は「新聞記者」を観て、すっかりシム・ウンギョンさんのファンになってしまいましたが、今回も良かったです(*^^*)
ちなみに、最近メディテーションを始めたのですが、この映画と似ていた気がします。今、ここに、この時に集中する、という意味で。