イーちゃんの白い杖のレビュー・感想・評価
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25年間の労作
25年間の追跡取材をまとめた労作です。視覚障がいのイーちゃんに加えて、医療的ケアも必要とする弟のイブちゃんも含む複数の障がいのある子どもを育てる両親と祖父母の奮闘振りが描かれています。監督の橋本真理子氏が最初に出会った頃のイーちゃんは、とても明るい様子だったけれど、東京の盲学校中学部に進学してからは、周りの子から取材拒否を受けるだけでなく、いじめの被害を受け、様々な得意なことに自信を失っていき、その過程も後日世に伝えたいと取材を続けていました。盲学校自体も能力主義的人間観に冒されているということでしょう。母親が頑張り過ぎて入院することになったところは、映画『学校Ⅲ』の結末のようでもあり、父親も頑張るようになったところは、テレビ版『1リットルの涙』や映画『桜色の風が咲く』とも通じています。イーちゃんは、理解ある男性に巡り会えて良かったです。結婚式を挙げないのかと思ったら、記念写真撮影だけだったようです。盲学校小学部の教師の思い出や、成人してからの施設の責任者のそれぞれの自立論が語られるけれども、同じ静岡県内の富士宮市のでら~とのような自立生活支援の事業所とはつながっていないようなのが残念に思いました。
辛いけど、生きる
イーちゃんは、目が見えず産まれて、弟は目だけでなくさらに重い障害を持って産まれる。
お母さんは看護師として働いているけど、お父さんは町工場勤務、しかも不景気でコンビニバイト。
それでも家族は明るく、健常者や裕福な人たちと同じ悩みを持つ。
小説家にもなれなかった、ピアノも私より上手い人いっぱいいる、水泳もタイムが伸びない。
なんでも中途半端で、将来何にもなれない。
何ができないからダメだと思う考え方は生きづらい。
何のために生きてるのか、何をするべきなのか、もがき続ける。
自分の置かれた立場や環境を受け入れて、できる限りのことをして諦めない。
それこそが生きることそのものなんだと。
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