「なんか思ってたゴジラと違う。。」ゴジラvsコング よしえさんの映画レビュー(感想・評価)
なんか思ってたゴジラと違う。。
わたし思うに、日本のゴジラはもちろんのこと、アメリカ製ゴジラも、少なくともこれまではSFが主体の映画だったはずなんですよね。第1作から(昭和期末期の作品は微妙ですけど)平成ゴジラ、アニゴジもS.P.も。評判の芳しくないエメゴジだってそうだし、ギャレゴジも前作もちゃんとSFじゃないですか。
翻って今作ですけど、SFらしさってどこにありました? 地球空洞説に基づく描写がややそれらしいけど、E.R.バロウズ『ペルシダー』シリーズなどの先行例に比べると描かれた世界が小規模だし、謎の遺跡は大した説明もせず崩壊して終わりだし、ゴジラの熱線で地上から穴が貫通するほど薄い地殻とか、むしろSFマインド薄まってません?
モンスターバースにおける人間ドラマが薄いのはもう伝統芸のようなものですけど(そもそもシリーズキャラがあっさり死ぬし)、それにしても、今作のマディソンは前作の彼女と比べるとあまりに違う人物すぎて、いくらなんでもこんなにキャラクター変えちゃダメでしょ。前作と共通なのは無鉄砲なところくらいで、前作の思慮分別のある彼女の態度からは、陰謀論めいた「タイタンの真実」を頭から信じたりする姿は想像できない。
今作はアトラクション・ムービーとしてはよくできているので、例えばMX4Dみたいな体感映画としてならものすごく楽しいと思います。けれどもモンスターバース・シリーズの1作としては、これまでのシリーズ作に愛着があっただけに今ひとつ好きになれない。
そもそも肉弾戦オンリーのコングがゴジラに勝てる要素が少ないので、逆転要素があるとすれば、知性を駆使したクレバーな戦い方でジリジリと追い詰めるとかかなあ、というのが見る前の予想だったのですけど、まさかその知性の象徴がただの拾った斧だとは思わなかったですよ。メカゴジラを倒してバランス取ったとはいえ、この対決が比較的簡単一方的な勝負に終わってしまったのも今ひとつ乗り切れなかった一因かと思います。