「【”寒い冬”今作は、且つてデンマークで(そして、日本でも)行われていた愚かしき優性保護思想が惹き起こした恐ろしくも哀しき出来事を描いた社会派サスペンスの逸品である。】」特捜部Q カルテ番号64 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”寒い冬”今作は、且つてデンマークで(そして、日本でも)行われていた愚かしき優性保護思想が惹き起こした恐ろしくも哀しき出来事を描いた社会派サスペンスの逸品である。】
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■あるアパートの人為的に隔絶された壁の奥に、テーブルを囲み、局部を切断された男女3人のミイラ化した死体が見つかる。
そのシーンから、1961年に従弟と恋仲になりながら、父親によりスプロー島にあった女子収容所に入所させられたニーデの哀しい復讐の物語が描かれて行くのである。
◆感想<Caution!やや内容に触れています。>
・今作も過去作同様に過去の恐ろしい出来事と、カール刑事、アサド、ローセが所属する未解決事件を扱う特捜部Qとの現代での捜査が並行して描かれて行く。
・今先では、ミイラ化した死体の一人の女性の身元が焦点になって行く。そのミイラはハートのネックレスをしていた事でニーデとされるが、真相は違っている事が徐々に明らかになって行くのである。
・驚くのは、且つての日本でも優生保護法という法律の下で行われていた不妊手術が、デンマークで行われていたという重い事実である。
それが、この作品に重く暗い影を落としつつ、社会派ミステリーとして見応えあるモノにしているのである。
・更に今作では、過去の出来事により、対人コミュニケーション障害の気がある愛想のない、常に渋面のカール刑事が、初めて同僚のアサド、ローセに対し、自分の彼らに対する思いを告げるシーンが描かれているのである。
<今作は、且つてデンマークで(そして、日本でも)行われていた愚かしき優性保護思想が惹き起こした恐ろしくも哀しき出来事を描いた社会派サスペンスの逸品なのである。>
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