「選民主義って愚かだな・・・」特捜部Q カルテ番号64 Teiranさんの映画レビュー(感想・評価)
選民主義って愚かだな・・・
2018年製作、デンマークとロシアの合作映画
過去の未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の部署「特捜部Q」
シリーズ4作目で完結らしいですが初見です
これはデンマークで過去に実際に起きた、
移民や病気持ちなど「劣等」と見做された女性たちに強制不妊手術を
医師や官僚たちが組織的に施していた事件をベースにした話だそうです
「優秀なものだけが子孫を残す資格がある」
選民主義って愚かだな・・・
「優秀の基準」って何?
どんな人間にも取り柄があるとは言わないけど
他人に子孫を残す価値がない、と決めつける者たちは
自分は誰からも存在価値があると認められているとか
思っているのかしら
こんな事が実際に組織的に行われていたという
デンマークの黒歴史
しかし、これとは異なる形での「選別」は
古今東西を問わず、行われていると思う
自分は優れた存在だと「思いたい」人間が最初に
やる事は「排除」なんだとか
過去と現在が交錯しながら進む話ですが
思ったよりわかりやすかったです
世界中で売れた(らしい)小説のTVドラマ風映画版という印象・・・
北欧映画らしく地味で暗いトーン
ですが、安っぽくはない
作りは丁寧で重厚な脚本がいい
役者の演技も良かった
主人公カールは、最初好感持てない人物だったけれど
不器用な人間臭さが徐々にわかってきて、味わい深い人物だと
思いました、ルックスも性格も
チームのメンバー
移民でもあるアサド、女性のローセが、普通っぽくて
いいバランス
相棒とのすれ違い→和解は、よくあるケースだけど
上手く描けている
ラスト、病室で、おまえがチームに必要だ、とデレるカールに
その前にこれ(重症の怪我)をどうにかしてくれ、と答えるアサド
この微妙なズレに笑った
いいシーン
ヒヨスを飲みつつ語りあうニーデとカールの場面がいい
船から飛び降りたように見えたニーデが死んでいなかったのが良かった
なかなか見ごたえあったこの作品
小説は以後続刊予定で映画はこれがラストとか。ちょっと残念
時系列遡りますが、1~3作目も観てみたいと思います