ANON アノンのレビュー・感想・評価
全28件中、21~28件目を表示
「貴様ッ!俺の目を盗みやがったな!!」
誰もが思うことと断言するがハリウッド版攻殻機動隊よりも本作の方がイメージとして寄っていると感じざるを得ない作品である。
コンセプトもそうだし、テーマ、そして俳優でさえも意識しなくてもオーバーラップしてくる。今作を企画上映ではなく、きちんと日本配給されていればもっと注目されたのではないだろうか。と同時にもしかしたらパクリ疑惑で騒がれるのだろうか?否、あくまでも“ガタカ”を撮った監督作なのだから、逆に喜ばれるのではないかと思うのだが、ビジネスとなると甘いのかな?w
映像のカラーリングもグレーが多く、かなりクールな見せ方である。アバンタイトルの“パラケルスス”の引用も、そのいかがわしさを孕んだテーマを紐解くのにマッチしていてニヤッとさせる。俳優陣も、最近鑑賞した“First Reformed”の自殺した夫の妻役であった女優が、打って変わって今作はクールビューティを装い華麗に演じている。そしてキチンとサービスショットも盛り込まれているのも素晴らしい。プロポーションが良いのだから出し惜しみせず裸体はみせるべきであり、今作に盛り込まれ様は歓迎である。
FPSとしてのカットを盛り込みながら、スリリングな演出が描かれている。データ群を表現する分子配列のようなCG等も今のSF表現として洗練されていてファッショナブルである。
ディストピア作品としてのテーマ性も、目に映っていたモノは全て記憶されている前提の世界に於いて、その映像自体に細工を施す天才ハッカーの出現で秩序が崩壊してしまうという、徹底した管理社会は実は綻びと表裏一体である哲学的なベースの上で構成されていて興味深い。
勿論、ストーリーに於いての細部説明や世界観を縛るようなナレーションが無いので、ここに飲み込みにくさがあるのは否めない。なので、結局真相として、その改竄できる天才ハッカーの仕業とされていた殺人の部分は、刑事の部下が行なっていたことという事実のみが分るだけで、その理由の曖昧さは腑に落ちないことに頭が支配されてしまう。しかし、今作品はそういう緻密な構成に心を持って行かれる事自体間違っているのではないかと気付く。なにせ、作品自体が真相ならざる語り部により進行しているのだから、どこからが本当でどこからが改竄なのか鑑賞者でさえ五里霧中なのだから。いくら管理が厳しくても、アノニマスは必ず現れ、そしてそいつは敵か味方かも分らない。雲を掴むようなそんな頼りなさ自体が作品に込められているのであろう。そんな得体の知らない作品が在っても良いし、それ自体を否定することは絶対に避けねばならない。見方をズラす事が重要なのである。
何かのピースがはまっていない?
記録と記憶
人体とネットデバイスが同化したような設定に惹かれた。
近未来的な世界観の中、街並みや建物の造形は今とさほど変わらず、むしろ少しレトロな雰囲気も漂っていたり。
目で見たものが映像の「ファイル」として記録され、データとして扱い送受信したり盗まれたりハッキングで弄られたり。
メールも電話も出来るし、仕事をするにも側から見ればただデスクに座ってるだけで十分。
現在パソコンやスマホでやってることが全て自分の脳と視界内で完結しているので、なかなか便利だなと思う反面、その処理をするためのエネルギーでなんだか疲れそうだなとも思った。
個人の能力によって処理速度や性能がバラついてきそう。
それとも脳とは別にチップのようなものを埋め込まれているんだろうか…。
現在進行形の視界までいじられるとハッキング一つで何でも有りな気がしてならないが。
記録と記憶は別に扱われていて、映像を消そうと加工しようと思い出には傷が付かないところが面白い。
設定を頭に入れて整理しながら観るので面白みはあるけど、ストーリーの大筋はわりと普通のサスペンス。
登場人物は常にローテンションで、あまりにも淡々とした進み方に途中で飽きが出てきてしまった。
話になかなか上手く乗れず、肝心の物語を全然楽しめなかったのが残念。
犯人の目的もなんだかピンと来ない。
一人称視点を組み入れたりAR的な映像はスタイリッシュで楽しめるけど、それも段々とわざとらしく感じてくるのが辛かった。
ブルーグレー系に統一されたトーンで、冬に観るには寒々しい。わりと好きなんだけども。
頻繁に挟まれるベッドシーンが好き。
無機質な世界に肉体的で生っぽい描写が入るので良いアクセントになっていたと思う。
状態だけ見ればアンドロイドと変わりない人間たちの欲望を描くことで、動物的な「人間」であることの主張なのかなと思った。
マイノリティ・リポートは、未来。この映画は過去。
冒頭、ミステリアス感のあるSci-Fi映画として成立していたが、観ていくうちにものに対しての解析の数値や情報がチラつきいらいらしてくる。とにかくだらだらとした映画であることは間違いない。しかしながら、パツ金やブルネットのスタイルグンバツなお嬢様が出演されているので良い刺激となった。
ミステリアスな謎の女性を演じたのが、「マンマ・ミーア!」や「レ・ミゼラブル」に出演していたアマンダ・サイフリッド、今回はブルネットというよりは真黒く髪を染めている。
REELVIEWSという映画専門サイトは、「この映画のシナリオはすぐに忘れることが出来る。なぜなら、混乱や予知ができることを満足できないミックスされたものとなっている。」とか香港の英字新聞SOUTH CHINA MORNING POSTの記者は、「単にちょっと熱意を付け加えたテクノロジーとグラフィックを使った生ぬるい犯罪映画。」と述べているが、評論家はもちろんのこと一般の視聴者からも不評であるということは大体推し量れるものとなる。スタイリッシュな映画とされるが主演のクライヴ・オーウェンのイギリス英語が鼻につくし、映画のスタイリッシュさを打ち消している存在となっている。
書き換え
全28件中、21~28件目を表示