記者たち 衝撃と畏怖の真実のレビュー・感想・評価
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ジャーナリズムの危機を反映した2010年代“新聞社映画”の1本
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のウディ・ハレルソンに記者というインテリ役が似合わない…と感じたが、ロブ・ライナーとは「LBJ ケネディの意志を継いだ男」でも組んでいたし、監督のお気に入りなら仕方ないか。
「スポットライト」「ペンタゴン・ペーパーズ」そして本作と、絶対的な権力と戦う記者や新聞社幹部の奮闘を描く実録映画が続く2010年代のアメリカ。トランプ政権になる前からジャーナリズムの危機を予感し、メディアにかかわる人々を鼓舞するような企画が続々と立ち上がったのか。
ただし本作、先の2作に比べると劇映画としての盛り上がりや感動の点で弱い。ラストに本人たちの映像を流すのは実録物では常套手段とはいえ、ドラマを締めくくるべき位置で俳優たちにしっかりオチをつけてほしかった。ジェシカ・ビールとミラ・ジョボビッチが演じた恋人や妻のキャラクターの描写も紋切り型で、本筋との関わりが物足りない。
民主主義の実験に成功はあるか
9.11をきっかけにイラク侵攻へと流されるアメリカの姿を、「真実はあるのか」と糾弾し続けたナイト・リッダー社の記者たちの目を通して描いた今作。
表面的な話の流れは、2001年の時点でイイ大人になっていた人達には既知の事実ばかりだ。
連日、テロの真犯人や大量破壊兵器の話題がニュースに流れ続け、「そんなバカな」と目を疑うようなニュースも沢山目にした事を思い出した。
だから、今回の表面的な内容については、特に斬新に感じるものはない。あの時、何が真実かわからない霧の中を、信じられるものだけを必死に掴み続け、発信し続けた記者たちの姿は素晴らしいが、映画としてはちょっと盛り上がりに欠ける。
この映画が本当に興味深い点は、とある歴史の真実を提示することで、今現在の「民主主義を担う市民」である私たちに深い内省を求めている事だと思う。
愛国心に駆られて入隊を決意した若者や、祖国が革命の末分裂した記者の妻を通して、政治的な意思決定がもたらす効果と犠牲を描くことで、考えもしなかった「市民生活への影響」を巧みに伝えている点は特に素晴らしい。
民主主義は多数決であり、多数が幸福になることで経済は動く。その影には少ないとはいえ、いつも損害を被る者がいる。
イラク派兵に限ったことではなく、不当に利益を得ようとする者たちによって「意図的に排除された情報」や「断定できない情報」にコントロールされる可能性は、常に日常に潜んでいる。
民主主義の長所が短所へと転落し、最も愚かな選択をする危険は、私たちが過ごす日々と無縁ではないのだ。
ちょっと味気ない教科書的な映画だが、手軽に大量の情報を手に入れられる今だからこそ観ておきたい映画なのかもしれない。
「スタンド・バイ・ミー」の名匠ロブ・ライナーが、イラク戦争の大義名...
「スタンド・バイ・ミー」の名匠ロブ・ライナーが、イラク戦争の大義名分となった大量破壊兵器の存在に疑問を持ち、真実を追い続けた記者たちの奮闘を描いた実録ドラマ。2002年、ジョージ・W・ブッシュ大統領は、サダム・フセイン政権を倒壊させるため「大量破壊兵器の保持」を理由にイラク侵攻に踏み切ることを宣言。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといった大手新聞をはじめ、アメリカ中の記者たちが大統領の発言を信じて報道を続ける中、地方新聞社を傘下にもつナイト・リッダー社ワシントン支局の記者ジョナサン・ランデーとウォーレン・ストロベルは、大統領の発言に疑念を抱き、真実を報道するべく情報源をたどっていくが……。物語の中心となる記者役に「スリー・ビルボード」のウッディ・ハレルソン、「X-MEN」シリーズのジェームズ・マースデン。そのほかジェシカ・ビール、ミラ・ジョボビッチ、トミー・リー・ジョーンズが共演。
映画人としてのつとめ
個人評価:4.0
この手の作品では非常に珍しい91分という短さ。伝えたいテーマをぎゅと詰め込み、誰もが見やすい作風に仕上げている。
歴史的な真実を、忘れ去られる年表などの記録だけではなく、映画という形にして、人々に記憶としても長く刻む事。ロブ・ライナーは映画人としての責任を果たしていると感じる。また監督自身がジャーナリズムの核となる、ボス役のジョン・ウォルコットを演じているのも、はまり役で素晴らしい。
ジャーナリズムと真実を描いた残すべき良作だ。
報道とはなんぞや
映画としてのおもしろさでいうと、すんごい普通。
ただまあ、伝えたい内容ありき、なので凝った演出でそこを濁すことは避けないといけない。
だから、お隣さんとのロマンスとかあってないようなもの。
あとは湾岸戦争の正否って答えが簡単ではないはずで、そこは深く触れようがない。
で、報道とはなんぞや、という問いをテーマにしているわけだ。911後のアメリカって所謂「正義」熱に浮かされていたようなところがあって、たぶん作中メディアの大半の判断はそこを汲んだ結果なんだろうな、と。
報道の理想を追うとウケない記事を選んでしまう悲しさ。真実こそが貧乏くじみたいな矛盾があって、どちらを選ぶか、きれい事を抜きで言えばそこは各々の価値観でしかない。
「トランプ時代」を描いた作品の一つ
近年、トランプ時代を描いた作品が数多く公開されている。
「ペンタゴンペーパーズ」
「ブラッククランズマン」
「ボラット2」
他にも多数あるだろう。
本作の制作はトランプ当選前かもしれないが、
「フェイクニュース」は、選挙戦の時から言ってたので、トランプ批判の意図はあるだろう。
フェイクニュースと戦った記者たちを真正面から描いた地味な作品である。
ヒットはしなかったし、賞レースにも絡まなかったかもしれない。
でも価値はある。
フェイクと戦った者たちを称えることは。
事件は現場で起きているんだ!
冒頭のイラク戦争で負傷をした退役兵軍人が公聴会で
「この戦争は、正しかったのですか?」と質問した所から始まります。
アメリカで911事件が起こった後、ブッシュ大統領が
「北朝鮮・イラン・イラク」を悪の枢軸と演説し、
テロの首謀者のアルカイダとイラク政府との関係を疑い、
イラク=フセイン=アルカイダという構図をつくり、
大量兵器があるという大義名分の下攻撃を開始しました。
この映画ではマイナーな新聞社が他社と違う形での報道をしていたが、
小さな声は政府や民衆に届くこともありませんでした。
しかし、戦争が終わってみると
「イラクから大量兵器は一つも発見されませんでした。」
政府から流れていた情報は、情報操作されているというのが明るみになった訳です。
報道とはなにか?
未だに私たちが見聞きするニュースも政府によってコントロールされている。
自分自身で何が正しいのか?
どう行動するべきなのか?考えさせられる映画です。
イラク戦争について学ぶのにおすすめ
9.11後、イラクが大量核兵器を持っているとしてアメリカが戦争に突き進んだ中、真実を報道しようとした2人の記者の物語。
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『バイス』出できた、チェルシー初め当時の政権の人物がちらほら出てくるので合わせてみるのがおすすめ。『バイス』を見てからの方が、あ!この人出てた!ってなるから痕から見るのがいいと思う。
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時間も90分と軽めだけど、結構情報はたっぷりあるので『バイス』をより理解するための勉強映画って感じだった。
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なにせ、字幕が池上彰さんが監修してるからわかりやすいんだよね。特にデートの時に女の人がイラクの歴史を語るシーン、短く早口だけどあれを分かりやすく字幕でまとめてて、知識が全くない私でも理解出来た。
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ちなみに、ロブ・ライナー監督本人が主人公2人のボス役で出てて、またかっこいい。こんな上司の下で働きたいねえ。
正にジャーナリズム
バイスと同時期に見たので、より楽しめた。大手新聞社が情けない。これこそジャーナリズム。しかし、当時のブッシュ政権は殺人政権と言っても過言ではない。映画としては豪華俳優陣の割にエンタメ要素が少ないので、盛り上がりに掛けるが、全く気にならなかった。
マスコミの大切さ、報道の自由の大切さ
イラク戦争開戦前に、開戦に批判的な記事を掲載し続けた記者たちの物語。
今、丁度コロナパニックの真っ最中。その中で時々見る記事に「今は苦難の時。政府批判は止めて一致団結しよう」という論調のものがあります。
まったくナンセンスな記事だと、私は思います。
日本でいえば、太平洋戦争前。軍部に追随記事を書いた新聞社は肯定されるのでしょうか?
イラク戦争時のアメリカ。大量殺りく兵器やアルカイダとの関係に疑義を挟まなかったマスコミは、肯定されるのでしょうか?
そんな訳ないですよね?そんなことを考えていた時に、この映画を鑑賞することが出来たのは、大袈裟に言えば運命のようなものを感じました。
映画自体は少し薄味が過ぎるように感じました。良く言えばリアルなのでしょうが、悪く言えば盛り上げベタ。
政府発表を信じる国民から批判されるシーンをもっと増やすとか、戦争に転がる政府と世論をもう少し絶望的な演出で映すとか・・・そうすれば、リアルを崩さずに、もっとドラマチックになったように思います。
一方、日本は・・
アメリカは現在トランプ政権で、閣僚も安定せずヒドい状況。
これが民主主義を謳ってる国なのか?と思ってしまうが、こういう映画が生まれ、かつ、当時イラク戦争時にジャーナリズム魂を持って真実を伝えようとした人たちがいる、っていう事実だけを見ても、日本よりよっぽどマシな国だな、と思う。
なぜ、「真実(非嘘)」がこれほど重要なのか、を理解している人が多いわけだもの。
映画自体は、さすが、ロブ・ライナー監督。
本人が出演してたのも見所の1つ。
なるほど、こういう顔してたのね。
日本はイラク戦争に真っ先に賛成したくせに、何の反省も検証もしてない・・。
ジャーナリズム魂なんて、大手メディアで持ってる人がいるとは到底思えないもんなー。
政府の広報マンそのまんまだし。
軽減税率という政府の餌に真っ先に飛びつくような連中だもの。
映画自体はすごく面白かったけど、日本と比較するとあまりな状況に恥ずかしくなってしまった・・観終わった瞬間の素直な感想。
報道は正確であるべき!
ワールドトレードセンターに飛行機が突っ込んだ時、たまたまNステーションを観ていた(当時は渡辺真理さん、メインは覚えてない)。衝撃的で朝まで寝ずに報道特番観ていた覚えがある。アルカイダの犯行と分かり、イラク戦争突入までの🇺🇸大統領、報道官等の会見、ニュースをほぼ信じていた。フセインには湾岸戦争から悪人のイメージがあったから、🇺🇸の言う通り核兵器隠しているんだろうと。でも結局何もみつからなかった。
結局アメリカは湾岸戦争終結後もイラクを、フセインをなんとかしたいと思い続ける。911のテロ首謀者ビンラディンを逃してしまった事で失いかけた世界の警察としての信用を取り戻したい。だからフセインがビンラディンと繋がっていたと、核兵器を隠し持っているなどというシナリオを創り、マスコミを利用した、、、、という解釈でいいのかな?
私もメディアを鵜呑みにしたひとり。NYタイムズ、ワシントンポスト、やはり常に耳にしている名前だから。ナイトリッダーは初めて知った。常にいろいろな情報を耳に入れ、どういう事なのかちゃんと自分の頭で考えるようにしたいものです。(なかなか難しい🤔)
ミラジョボヴィッチが普通の主婦役、珍しい。夜、ベッドの中から盗聴器があるかもしれないと起き出した時に、ちょっと、ニヤッとしてしまった😆余談でした。
まさに実録物
一言「本当にこんなことが?!」。
◎よかった点◎
・最初の法廷、そして最後に出てくる「数字で表す本当の話」。
とても説得力・真実味があって、興味深いしぞくっとした。
・実際のニュース映像を挿入しながら、記者たちが取材する箇所。
刻々と進む非常事態とそれを報道する時間との戦いが、いい感じでスピーディーさを増している。
・取材対象者がたくさん出てくるけど具体的な名前は出てこず。
そこが混乱しないよう工夫されている。
・主要紙ではない新聞でも、真実を伝える役目に変わりはない。
その底力がとても出ている。
ゲスト的キャラの、トミー・リー・ジョーンズ。重鎮っぷりナイス。
△いまいちな点△
・90分弱と短いので、サクサク進すぎるところは否めない。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「政府が何か言ったら。それは真実か?と言ってやれ」by編集長。
なぜアメリカは太平洋戦争を反省する映画を作れないのか
ベトナム戦争やイラク戦争を反省できるアメリカが何故?
石油を禁輸しハルノートを突きつけなければ真珠湾攻撃はなかった。
アメリカが参戦しなければ第二次世界大戦はなかったのである。
ヨーロッパの戦争で終わったものを
アメリカの介入で人類史上最大の戦争が起きてしまった。
当時の日本政府は日米戦を回避しようと必死になっていた。
ところが朝日新聞が開戦を煽りまくった。
当然世論は戦争に熱狂。開戦は不可避の空気が醸成されていった。
ニューヨークタイムズはイラク戦争の誤りを認め謝罪したが、
朝日はいつ先の大戦を日本国民に謝罪するのか。
報道の真実
あまり馴染みのないナイトヘッダーという会社ではあるが、劇中の記者たちの真実に迫る報道する側の姿勢が近年危うくなってきてるように思えてならない。日本でも報道各社が政府の広報に成り下がりつつある。この作品の主人公たちのように報道各社は政府批判をしていくという本来あるべき精神を失ってはいけないと思う。
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