劇場公開日 2019年3月29日

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「報道と真実」記者たち 衝撃と畏怖の真実 aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0報道と真実

2019年3月29日
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鑑賞方法:映画館

笑える

知的

真実を追い求める「記者たち」の話。このテーマのドラマは「ペンタゴン・ペーパー」以来かな。私が見てないだけかもしれないけれど、ネットニュースの時代で記者のドラマは描きにくくなっているのかもしれないですね。

捻じ曲げられた情報を元に、イラク戦争に突き進もうとする米国を、止められない報道記者が描かれる。深刻な話だが、描く対象が「記者たち」なので、事件をドラマティックに語ることを脇に置きためか、かなり軽いタッチで描写されていた。2人の記者とその上司との掛け合いが、なんとも微笑ましく、楽しい。例えば、届いた脅迫メールのプリントアウトを、深刻な面持ちで上司に差し出して相談するが、上司は黙ってメールの誤字に赤入れして、平然と二人に返す。といったウィット溢れるシーンが散りばめられている。

現実には、9.11の捌け口を求めるように、政府も周囲の報道もがイラク侵攻すべしとの論調。大量破壊兵器があると言う事実が見つからないにもかかわらず、それが存在する証拠が見つからないまま、戦争へと世論が傾いていく。大手報道機関が、すべて事実を曲げられた政府の発表を報道する中、彼らだけが事実を確認しようと走り回り、誤りでは無いかとの報道を続け、孤立してゆく。

さて、映画としてはどうか。題材としては良いのだが、もう少しドラマ性があっても良かったと思う。ドキュメンタリーに近く描きたければ、記者同士の軽口や生活の描写はもっと絞っても良かった。ストーリーテラーとして降りたければ、苦悩や孤立をもう少し脚色しても良いと思う。そうした中途半端さは、少し残念だった。

AMaclean